網膜コリン作動性ニューロンで発見された新奇なアセチルコリン合成経路の検討
Project/Area Number |
20K09836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
金田 誠 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30214480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 俊行 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10643140)
赤木 巧 日本医科大学, 医学部, 助教 (50192878)
丸山 拓真 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (90838103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | プリン受容体 / アセチルコリン / コリン / retina / acetylcholine / purinoceptor |
Outline of Research at the Start |
コリン作動性ニューロンでは、高親和性コリントランスポーター(hChT)を介して取り込まれたコリンのみがアセチルコリン(ACh)の合成に関与するとされている。網膜コリン作動性アマクリン細胞(CA細胞)では、P2X2型プリン受容体(P2X2-R)を介してコリンが取り込まれる。この取り込まれたコリンがACh合成に使われるのかどうかを明らかにする。また合成されたAChが実際に網膜CA細胞から放出されるのかどうかについて明らかにする。 一連の研究を通じて、網膜におけるAChの機能の解明をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
P2X2-RとGFPを強制発現させたHEK細胞を、コリン溶液中でインキュベートし、ATPを添加するとコリン取り込みが増加することはHPLCを用いた実験で確認済みである(Ishii …Kaneda 2017 J. Neurophysiol.)。 令和3年度までに実施した研究で、ACh合成能を高めたHEK細胞株では、高濃度コリン溶液中でP2X2-Rを強制発現させたHEK細胞にATPを作用させると、流入したコリンからAChが産生されることはHPLC法で確認することが出来た。そこでACh合成能を高めるなどの遺伝子操作を加えていない通常のHEK細胞を用いて、同様の検討を進めた。通常のHEK細胞を用いた検討では、できるだけ生理的条件に近い状況でAChの合成が起こるかどうかを検討する目的で、細胞外液中のコリン濃度を下げた生理的濃度のコリンを含む溶液中でも実験を行った。その結果、生理的濃度のコリン溶液中では、通常のHEK細胞を用いてATP投与時にみられるACh合成量の増加をHPLCで検出することは難しいと判断せざるを得ない結果が得られた。 令和4年度は、ACh合成能を高めたHEK細胞株を使って、生理的濃度のコリン溶液中でATP刺激で細胞内に流入したコリンからのACh合成量を計測する実験を実施した。その結果、生理的濃度のコリン溶液中でもATPを作用させることで、P2X2-Rを通じてコリンが細胞内に流入し、その結果AChの合成が増加することが証明できた。 また論文化に必要な様々な基礎的な追加実験を実施した。 ここまでの研究成果を日本生理学会、日本神経科学学会の年次大会で報告し、その成果をまとめて投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一昨年度に発生したコロナウイルス感染症対策のため、十分な研究時間を確保することが出来なかった。また継続的にコロナウイルス感染症の感染予防措置を講じる必要(テレワークの導入や三蜜の回避等)が生じたため、教室業務におけるリモート会議システム等の導入や、webを用いた学生のリモート教育システム(講義、実習)の構築等の対策も講じなければならなかったことも、研究遂行上大きな影響があった。 また物品の納入についても、海外からの輸入品を中心として欠品や納入遅れが生じたため、計画通りのスケジュールで研究を遂行できなかった。 現在コロナウイルス関係の影響はほぼ解消しているが、円安による物品購入価格(特に輸入品)の高騰の影響で、購入予定であった機器の更新に支障をきたし、一部の研究計画については研究計画を変更せざるを得なくなり、効率的な実験が実施できない状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、申請者らが網膜で見出した、P2X2-Rを介して起こるACh合成とコリントランスポーターを介して起こるACh合成の二種類のACh合成機構が、網膜神経回路の成熟過程でどのような時間経過で形成されていくのかについて、免疫組織化学的手法を用いて検討を加える。具体的には、P2X2-Rとコリントランスポーターの免疫反応の強度を指標として、その発現パターンを観察し、そのパターン形成過程で視覚入力が関係するのかどうかについて検討を加える。 また可能であれば、網膜で申請者らの見い出した機構が、中枢神経系全般にわたり普遍的に存在する機構であるのかどうかについて検討を加える。本研究で中枢神経系において同様の機構が存在することが証明できれば、アルツハイマー病などのコリン合成系に障害のある疾患をターゲットとした新薬開発の可能性につながるものと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(28 results)