バリウムガラスに対するリン酸モノマーとシランカップリング剤の分子挙動解明
Project/Area Number |
20K09955
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70304326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 久美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90631581)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | バリウムガラス / ジルコニア / シランカップリング剤 / リン酸モノマー / 化学結合状態 / 化学結合状態解 / 化学結合状態解析 / カップリング / 分子挙動 |
Outline of Research at the Start |
バリウムガラスやジルコニアなどのリン酸吸着能を有する材料に対し,強固にカップリングできるアルキル鎖スペーサーを持つ,リン酸モノマーとシランカップリング剤の組み合わせを検討し,各モノマーの会合状態,カップリングメカニズム,結合状態を解明するものである。成果は,超高強度コンポジットレジン開発の基盤,また,新規プライマー開発によるCAD/CAMハイブリッドレジンブロックやジルコニアの接着性向上に応用できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,リン酸吸着能を有するバリウムガラスやジルコニアに対するリン酸モノマーとシランカップリング剤の結合状態を解析する。 バリウムガラスを主成分フィラーとするコンポジットレジンブロックと,比較対象としてリューサイト系セラミックを用いてカップリング剤の調整と接着試験を行った。シランカップリング剤に酸性剤を添加してカップリングプライマーを作製し,被着材表面に塗布してカップリング処理した。カップリングプライマーの余剰成分をエタノール洗浄で除去後,歯科用レジンセメントでジルコニア丸棒を合着してせん断試験片とした。試験片作製後24時間後,サーマルサイクル3万回後のせん断強度を測定した。酸性剤にはリン酸モノマー(10MDP),カルボン酸モノマー(4MET),酢酸,ピロメリット酸,フマル酸,マレイン酸を用いた。10MDPと4METは各モノマー単独でのカップリング処理も比較検討した。また,一部のカップリング処理において,その前処理として歯科用リン酸エッチング剤による被着剤表面の洗浄を行った。 両被着材に対し,10MDP,4METのみによるカップリング効果は小さかった。バリウムガラスを主成分フィラーとするコンポジットレジンブロックは10MDPを酸性剤としたカップリング剤の耐久性が悪い結果となり,前処理として歯科用リン酸エッチング剤による被着剤表面の洗浄を行うと,さらに強度,耐久性が悪化する結果となった。カルボン酸を酸性剤としたカップリングプライマー,特に4MET,マレイン酸は両被着材に対して高強度が得られ,耐久性も良好な結果となった。スペーサの異なるシランカップリング剤である,3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3MPTS)と8メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン(8MOTS)を比較すると,8MOTSは耐久性が良く,劣化が少ないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カップリング材の結合状態評価を実施するにあたり,X線光電子分光法(XPS)は非導電性試料の精密な測定が必須であることから外部機関での実施を予定していた。測定サンプルは最表面の状態を良好に保つ必要があることから,測定機関に持参する予定であるが,COVID-19の影響により出張できない状況が続いた。このため,研究期間を1年間延長した。 その他の研究項目でもCOVID-19の影響で,特に海外からの物品入手に時間を要するなど影響があったが,データの蓄積がほぼ終わっている。本研究の目的である,リン酸吸着能を有する歯科材料へのカップリング手法を確立できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
各被着材に対するカップリングモノマーの化学結合状態解析を実施する。X線光電子分光法(XPS)により,材料表面上のカップリング剤の結合状態を評価する。バリウムガラスを主成分フィラーとするコンポジットレジンブロックのカップリング処理ではリン酸モノマーを酸性剤としたシランカップリングプライマーの利用が接着強度と耐久性に劣ることが明らかになった。さらに,被着材表面の歯科用リン酸エッチング剤による洗浄がさらなる強度と耐久性の劣化につながることが明らかになった。以上の結果から本研究の目的である,カップリングメカニズムと結合状態の解析を進め,リン酸吸着能を有する歯科材料へのカップリング手法の確立を目指し,市販のカップリングプライマーを上回る性能をもったプライマーの開発を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(12 results)