Project/Area Number |
20K10398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊倉 真衣子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (90821819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榛沢 和彦 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (70303120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 血栓症 / 災害医療 |
Outline of Research at the Start |
災害後に増加する血栓性疾患として、心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症などが報告されている。われわれは、災害後に肺塞栓症による死亡が多発し、問題となることを日本で最初に報告した。また阪神淡路大震災後の超過死亡率の推移から、災害による血栓性疾患の影響が長期間に及ぶことが示唆されている。 しかし、災害後の静脈血栓症予防・治療についてのガイドラインは未だなく、いずれも暫定的なものである。日本人における災害後の血栓症が、脳・心血管イベントに及ぼす中長期的予後に関する知見はほとんどないため、本研究は、今後の災害を見据え、減災及び、二次的健康被害の予防に貢献できる意義は高いと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人における災害後の血栓症が、脳・心血管イベントに及ぼす中長期的予後を明らかにし、災害関連死や二次健康被害を予防するために、被災そのもののストレスやその後の避難環境によって起こりうるリスクを明らかとし対策を講じていくことを目的としている。 研究方法:新潟県中越地震、東日本大震災などの災害では避難生活により多数の深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)が発生した。そのDVTの長期予後、肺塞栓症の合併の有無、脳・心血管疾患などが増加していないかどうかについて、DVT検診を実施し検証する。 研究結果:令和4年度は、新潟県中越沖地震、中越地震被災地域住民 257名(男性48名、女性209名、平均年齢77.1±6.9歳;48-93歳)にDVT検診を実施した。過去に血栓の既往のある被災者の52.1%(76名;63-93歳)にDVTを認めた。 また、被災地域住民1266名に追跡調査票を郵送し、998名(回収率78.8%)の方から回答を頂いた(うち調査への同意を得られた972名:男性230名、女性742名、平均年齢76.0±8.8歳;35-102歳)。震災後の脳血管疾患発症2.9%(28名)、心血管疾患発症2.8%(27名)、肺塞栓症発症1.0%(10名)であった。 考察:一度できた下肢の静脈血栓は消退を繰り返し、慢性期にも影響を及ぼす可能性が示唆された。令和5年度はこれまでのデータをとりまとめ、肺塞栓症および脳・心血管イベント(脳梗塞・心筋梗塞等)の頻度と、DVT陽性群及び陰性群における発症率について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は、COVID-19感染拡大防止のため検診会場での密集を回避するため、検診規模を縮小し感染対策に配慮のうえ、実施した。例年1000例以上の被災地域住民の方に検査を行ってきたが、感染拡大防止のため、昨年度まで同様、検診規模の縮小はやむを得ない措置となった。検診については、すべて個別に案内を郵送し、事前予約制、人数制限のうえで検診を行った。検診を受診できない方にも追跡調査票を郵送した。東日本大震災被災地域での検査は、もともと医療期間へのアクセスが不便な地域もあり、検診予定と感染拡大時期とが重なったことなどから、リスクを考慮し、検診の実施を断念した。 なお、追跡調査と併せてCOVID-19感染症による生活の変化に関するアンケート調査を行った。DVT検診を受診された方のなかでは、COVID-19感染症拡大のため外出を自粛している方は全体の約8割にのぼった。外出を自粛している方のDVT頻度については、DVTの既往のある方は、DVTの既往のない方よりもリスクが高い傾向が認められた。また追跡調査票を回収できた998名のなかでは、約1割の方が医療機関の受診を控えていると回答された。過去に被災を経験されている方々でも、災害時にコロナウィルス感染リスクのため避難を躊躇すると回答された方は数%だったが、そのときにならないとわからないと答えた方は、昨年度までと同様に約3割を占めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、COVID-19感染拡大防止対策を講じつつ、令和2-4年度よりも検診規模を拡大し、より多くの方にDVT検診を受診していただけるように計画している。本年8月に新潟県中越沖地震被災地域、9月―11月に中越地震被災地域で実施予定である。なお東日本大震災被災地域についても、9月以降に日程を調整中である。また、追跡調査についても調査票の郵送を予定している。 なお、これまでのデータをとりまとめ、DVTの長期予後、肺塞栓症を合併の有無、脳・心血管疾患などが増加していないかどうかについて検証する。また被災当時の避難環境とDVTとの関連についても検討し、避難環境の改善に向けた提言を行う。
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