Project/Area Number |
20K10524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58030:Hygiene and public health-related: excluding laboratory approach
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
色川 俊也 東北大学, 事業支援機構, 教授 (70375179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 眞也 東北大学, 事業支援機構, 講師 (40375035)
黒澤 一 東北大学, 事業支援機構, 教授 (60333788)
小川 浩正 東北大学, 事業支援機構, 教授 (90361162)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 災害労働者 / 東日本大震災 / 肺機能検査 / 職業性肺疾患 / 防護具 / フィットテスト / じん肺 / 肺機能 |
Outline of Research at the Start |
1.東日本大震災で救援活動に従事した仙台市および石巻市の救急隊員と消防隊員の震災前(2010年)と震災以降(2011年以降)の健康診断結果から肺機能検査結果のうち、努力性肺活量(FVC)、1秒量(FEV1)、%1秒量(%FEV1)、1秒率(FEV1%)の経時的な変化を集約して分析し災害救助活動が従事者の呼吸機能に及ぼした影響を明らかにする。 2.同様の肺機能調査を、仙台市内の某健診機関でじん肺検診を継続に行っている者のうち、震災後のがれき処理作業に従事した者についても実施し、がれき処理作業が従事者の呼吸機能に及ぼした影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究調査は、①東日本大震災で救命・救助活動に従事した救急・消防隊員の震災前後の健診肺機能検査の推移を比較検討することで、がれきやヘドロを含んだ粉じんが救援・救助活動に従事した労働者の健康に影響を及ぼしていないかを確認する、②震災後のがれき処理や復旧作業に従事した労働者の震災前後の健診肺機能検査結果を比較検討し①と同様に労働者の健康影響を確認する、③近年多発している災害(地震や豪雨)時の救命・救助活動や復旧作業に従事する労働者の災害後の粉じん曝露による健康障害(特に肺機能障害)の防止に貢献できる方策を提案する、以上3項目を目的とした研究調査である。 当初の研究計画では、宮城県内沿岸の消防隊員200名から肺機能検査を含む健康診断結果の提供を受け調査分析を実施する予定であったが、昨年まで50名分の資料しか収集できなかったが、収集した肺機能検査結果は現在、公表に向けて分析を進めている。また、東北地方の近隣県沿岸の消防隊への協力を打診して調査対象範囲を拡大しようとしたが、現在まで新たな救急・消防隊員の健診結果は得られていない。 2021年度宮城県内N市消防局において実施した粉塵防護マスクの定量的フィットテスト実施結果の概要と意義を、本調査の一部である震災直後活動時の防護マスク装着状況調査結果を踏まえて2022年5月に高知市で開催された第95回日本産業衛生学会の一般演題にて発表した。更に現在分析中である肺機能検査結果の中間分析時点での推察状況を米国9・11で活動した消防隊員の健康影響調査結果との比較する形で2022年11月に発刊された産業医学ジャーナルVol.45 No.6に「粉じん吸入による疾病の臨床と産業衛生」という題名で記述した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の要因は調査研究開始時点から継続している新型コロナ感染症の感染拡大・鎮静化の繰り返しの中で、資料収集が思うように進まなかったことである。また、主たる検討項目である肺機能検査については、定期健康診断結果に肺機能検査が含まれていないため、調査対象者がドック健診受診者に限られること、ドック健診受診率が必ずしも高くなかったこと、新型コロナ感染症蔓延下では、ドック健診時であっても肺機能検査が中止されていたこと、などで収集できた肺機能検査結果が当初計画の4分の1に留まっていることも進捗を困難にする一因となった。更に、収集出来た数少ない肺機能検査結果についても、実施した健診機関によって、記録を残している検査項目にばらつきがあったり、本来であれば複数回手技を実施した上で検査結果を判断すべきものが、健診を短時間で効率的に進める必要があるために、1回だけ実施した検査結果であったため、被験者側の要因(=手技習熟度の影響)による誤差も大きい点が収集した肺機能検査結果の分析・解釈を困難にしている。 また、目的の一つとした、がれき処理作業従事者の健診結果収集については、じん肺健診受診者から震災直後にがれき処理作業に従事した労働者を抽出し肺機能検査結果を収集し分析することを、某健診機関に相談し資料収集を試みたが、肺機能検査実施者数が非常に少ないことや、がれき処理作業従事者であったことの同定が困難であるとの理由から、当初の計画方法での調査を断念せざるをえない状況になった。今年度、別の方法での調査を実施できないか現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに収集出来た宮城県内沿岸の救急・消防隊員50名の肺機能検査を含む健診結果や震災後の作業状況に関するアンケート調査結果の解析を進め、2023年10月に甲府市で開催される第33回日本産業衛生学会全国協議会にて得られた知見を発表し、その後、国内外の関連する学会誌(日本産業衛生学会誌またはJournal of Occupational and Environmental Medicineなど)に投稿する予定である。国内外の新型コロナ感染症蔓延状況等も検討の上、次年度の米国産業衛生学会での発表も検討したい。また、一方で、対象地域を青森県沿岸まで拡大して救急・消防隊員の健診結果sample数の増加に努める。 がれき処理作業従事者の健診結果収集については、当初計画時の方法での調査を断念せざるをえない状況であることから、宮城県内の2010年以降のじん肺健康診断結果を分析するなどして、東日本大震災後の何らかの影響が認められないか等を考察する。 研究調査に協力していただいた宮城県内消防団に勤務する救急・消防隊員の健康被害防止に貢献出来るように宮城県消防局と相談し粉じん防護マスクフィットテスト研修会などを企画し実施する。
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