慢性閉塞性肺疾患の認知機能低下における脳血管動脈硬化の役割
Project/Area Number |
20K11186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40632782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 呼吸筋疲労 / 動的肺過膨張 / 脳循環 / 筋代謝受容器反射 / 慢性閉塞性肺疾患 / 脳血管機能 / 認知機能 / 動脈硬化 |
Outline of Research at the Start |
慢性閉そく性肺疾患(COPD)の重症度が増すほど、認知機能が低下することが明らかにされている。COPDの認知症発症の原因は不明で低酸素血症が関連する可能性は示唆されてはいるが、脳血管の動脈硬化との関連は研究されていない。動脈硬化は認知症発症に関連し、さらに、COPD患者は喫煙者で炎症反応および酸化ストレスが高いことから、脳血管の動脈硬化がCOPD認知症の進行に関与する可能性は高いと考える。このことから、本研究はCOPDの脳血管障害に注目して、超音波診断装置を用いて脳血管の動脈硬化を測定し、さらに呼吸筋負荷の増大が脳循環機能に与える影響を明らかにすることを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の認知機能低下に関与する脳循環機能の変化を解明すること、また、呼吸筋疲労が脳循環機能の変化を介して認知機能低下に関与するかを明らかにすることを目的としている。本研究申請時には外来COPD患者を被験者として用いる予定であったが、COPD患者はCOVID-19に対してより重症化のリスクが高くリクルート困難であったため、本研究のメインテーマである「COPDにおける呼吸機能の変容が脳血管および認知機能に与える影響」を明らかにするために、健康成人を用いたCOPDモデル実験を推進した。
具体的には、以下の2つの研究を行った。1)健康成人に対して、吸気に段階的に呼吸抵抗を負荷し、呼吸筋疲労を引き起こした。その後、呼吸筋疲労ありと疲労なしの2条件で、安静時および運動時の脳血流(中大脳動脈の血流速度、内頸動脈の血流速度・血管径)、全身の循環機能(連続指尖血圧、心拍数、心電図)を測定する実験を実施した。実験は順調に終了し、得られた結果を学会にて発表した。本研究により、呼吸筋疲労は呼吸筋由来の代謝受容器反射を亢進させ、呼吸筋活動増加時(過換気時)における内頸動脈の血管コンダクタンスを低下させることが明らかになった。現在、論文執筆中で近日中に国際誌に投稿予定である。2)健康成人に対して、軽度の呼気抵抗と呼吸コントロールを行うことにより、動的肺過膨張を引き起こし、脳血流(中大脳動脈の血流速度、内頸動脈の血流速度・血管径)、全身の循環機能(連続指尖血圧、心拍数、心電図)、呼吸筋仕事量に与える影響を検討するための予備実験を行った。強度や呼吸の設定は順調に進んだものの、口腔内圧を出力するために呼気ガス分析装置のシステム改修が必要なことが判明し、2023年5月に改修を実施する予定である。システム改修が終了次第、本測定に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、関連するクリニックに通っている外来の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において脳循環機能を測定する予定であったが、本研究計画申請後にCOVID-19が蔓延し、COPD患者のリクルートが非常に困難な状況になった。そのため、本研究のメインテーマである「呼吸機能の変容が脳血管および認知機能に与える影響」を明らかにするために、健康成人を用いてCOPDをモデルとした実験を行うなど、臨機応変に対応している。
さらに2021年10月に出産をし、産休および育休を取得したことから、研究の進行は当初の予定よりは遅れていたが、昨年度は順調に進行しており、今後計画的に進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
COPD患者における呼吸筋疲労や動的肺過膨張が、脳機能や脳血管調節に与える影響を調べる上で、健康成人における呼吸筋負荷増加や、動的肺過膨張の誘発(COPDモデル)は非常に有用なデータとなりうる。COPD患者では呼吸筋負荷や動的肺過膨張以外にも低酸素性肺血管収縮などの病態が複雑に絡み合っている。それに対して、健康成人で呼吸筋疲労や動的肺過膨張を誘発させることは、肺力学的にこれらが純粋に脳血流や脳血管調節に影響を調べるために重要である。そのため、今後はこれまで進めてきた健康成人を用いたCOPDモデルの実験を終了させ、結果報告を行っていく予定である。具体的には、すでに実験が終了した研究1(健康成人に対して呼吸筋疲労を与え、脳循環への影響を明らかにする研究)については国際誌への投稿を行う。また、研究2(健康成人に対する動的肺過膨張を引き起こし、脳循環機能に与える影響を明らかにする研究)については、本実験を実施し、結果を解析し学会発表を行う予定である。 これらの健康成人における研究結果は、本研究におけるCOPD患者における呼吸機能低下と脳循環機能の低下の生理学的な関連を調べる上で非常に有用なデータとなる。またこれらの実験で得られた知見を今後、COPD患者における呼吸機能と脳循環調節測定へ生かしていく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(24 results)