スポーツ選手のマイクロサッカードを指標としたビジュアル・ピボットの有効性
Project/Area Number |
20K11316
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 正則 日本大学, 文理学部, 教授 (10297757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | マイクロサッカード / ビジュアル・ピボット / 眼球運動 / 固視微動 / テニス / スポーツ / ビジュアルピボット |
Outline of Research at the Start |
近年、固視微動の一成分であるマイクロサッカードの出現頻度や方向が注意の影響を受け、潜在的注意を示す指標として有効である可能性が示唆されている。そこで本研究は、ある特定の位置を注視しながら周辺視システムを用いてより多くの情報を収集していると考えられているビジュアル・ピボットという認知方略に着目し、スポーツ選手のマイクロサッカードを指標としてビジュアル・ピボットの有効性を明らかにし、スポーツ選手の潜在的注意の働きを可視化しようとする試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ある特定の位置を注視しながら周辺視システムを用いてより多くの情報を収集していると考えられているビジュアル・ピボットという認知方略に着目し,スポーツ選手のマイクロサッカード(MS)を指標としてビジュアル・ピボットの有効性を検討することで,スポーツ選手の潜在的注意の働きを可視化することを目的とした.このマイクロサッカードは注視中に生じる微小眼球運動でその間に生じるドリフトやトレモアとともに特徴的な眼球運動を示しており,その出現頻度や方向より潜在的注意の内容を示す知見が多く報告されている.そこで,テニス選手を対象とし,Posner課題(モニター画面中央の点を固視したまま周辺視に現れた視覚刺激を特定して反応する課題)中の固視微動からMSの抽出を試み,その出現頻度や方向等と競技力との関係を調べ,テニス選手の固視する能力に関して検討する. 令和4年度の研究実施計画では当初予定の実験を継続して行う予定であったが,令和2年度からの新型コロナウイルス感染症の影響により,被験者の頭部固定が必要となる眼球運動実験の環境下では被験者の安全性を完全に確保できないという理由から,実験の実施が十分に出来なかった.そのため,これまでの文献的検討およびテニス選手における固視力(MSの出現頻度に影響を与える固視を持続する力)に関する議論を踏まえ,実際の世界一流テニス選手における競技中の視線行動やパフォーマンスについて観察調査を行ったところ,注視行動にみられる顕在的注意に依らない潜在的注意の行動を改めて確認した.したがって,令和5年度には統計的な検討に耐え得る被験者数を確保して眼球運動実験を遂行することを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要に記した通り,令和4年度の研究実施計画では当初予定の実験を継続して行う予定であったが,令和2年度からの新型コロナウイルス感染症の影響により,対面にて被験者の頭部固定が必要となる眼球運動実験の環境下では被験者の安全性を完全に確保できないという理由から,実験への参加者を十分確保することができず,その結果,実験実施が十分に出来なかった.特に,被験者は実験装置である顎台に顎を載せ,眼球運動測定器のセンサーに向けて頭部を固定したまま,反応のための手指用ボタンに終始触れながら課題を実施することが求められ,また被験者と験者は終始口頭でやり取りする必要があることから,ソーシャルディスタンスを確保しつつ,安全性を担保して実験を遂行することが困難であった.一方,これまでの文献的検討およびテニス選手における固視力(MSの出現頻度に影響を与える固視を持続する力)に関する議論を踏まえ,実際の世界一流テニス選手における競技中の視線行動やパフォーマンスについて観察調査を実施したところ,注視行動にみられる顕在的注意に依らない潜在的注意の行動が確認されたことから,ビジュアル・ピボットの有効性の検討のためにMSを指標とした議論が改めて重要であることが指摘できる. したがって,令和4年度は,結果として実験的検討に必要な被験者数確保は出来なかったことから量的分析に至らなかったが,研究期間を延長した令和5年度においては,統計的耐え得る被験者数を確保して,眼球運動実験を遂行することを予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては,新型コロナウイルス感染症の影響が継続したことにより,結果として実験的検討に必要な被験者数確保が出来なかったことから量的分析に至らなかった.そこで,令和5年度では,引き続き,感染症対策(手指消毒,マスク対応,ソーシャルディスタンスの確保)にも十分配慮しながら実験の遂行に努める予定である.そのために,被験者確保のため,感染症対策を伴う実験概要を十分説明した上で,本学だけでなく複数の大学を対象として大学テニス選手を募る.その際,原則として性別は問わない予定である.また,実験の進行に応じて得られる眼球運動データはかなり膨大になることが予想されるため,即座にデータ処理に移行できるよう,データ処理に長けている複数人の補助学生に依頼(人件費の支出)し,詳細な分析を進める.また補助学生の増員に伴い,大容量のデータ処理に耐え得るメモリを備えたパソコンを研究室内に増設することを検討する.その後,各データを精査し統計処理結果の検討を進め,得られた知見を学会等で発表することを予定している. 令和5年度はこれまで停滞していた実験を進めるため,研究成果の獲得が遅延することが想定されるため,当初から予定していた国際学会等における研究発表は間に合わずとも,学会大会等に参加し本研究成果について多くの国内外の研究者と議論できる機会を得たい.さらに,それらの成果が,実際の国際テニス競技大会における世界一流選手にとって,実際のパフォーマンスにどのように影響しているのか新たな観点で視察することを予定している.
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)