Project/Area Number |
20K11404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤元 章 大阪工業大学, 工学部, 教授 (90388348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 雅人 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (10635345)
小池 一歩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40351457)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | グラフェン / 酸化グラフェン / 硝酸イオン / 拡張ゲート電界効果トランジスタ / 酸化インジウム / ガスセンシング / 一酸化窒素 / 動脈スティフネス / 自転車エルゴメーター運動 |
Outline of Research at the Start |
体内の情報伝達物質として働く血液中の一酸化窒素(NO)を運動時にセンシングするために,グラフェンと二硫化モリブデンなどの原子層薄膜を用いたファンデルワールスヘテロ接合を利用したポテンショメトリックセンサーを開発する。自転車エルゴメーター運動を行う若年者を採血し,運動前後でのNOを検出し,運動が動脈硬化やNOに与える好ましい作用をリアルタイムにモニタリングすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
有酸素運動を行うと動脈壁で一酸化窒素が産生され,血管拡張が起こり,動脈が柔らかくなる.血中の一酸化窒素(NO)を人体の外部から検出し,血液中の一酸化窒素の濃度を測定,定量化することは,今後も重要な研究になると考えられる.本研究では,グラフェンなどの2次元材料を用い,ヒトの血液中のNOを高感度で検出することを目標に研究を進める.グラフェンなどの2次元材料は比表面積が大きいため,表面で起こる化学変化を半導体センサーとして電気的に高感度で検知することが原理上は可能である.今年度は,グラフェンよりも欠陥サイトが多いと考えられる酸化グラフェンの成膜を試みた.さらに,グラフェン表面を流れる少量の硝酸水溶液の液滴によって生じる電位差発生を利用した測定も実施し,スズ添加酸化インジウムの場合と比較した. 市販の酸化グラフェン水分散液を溶液としてスピンコートによる成膜と焼成を行った.分散液には1wt%のポリビニルアルコール(PVA)を添加し,60℃,回転数600 rpmで撹拌したものを用意した.PVAを加えた酸化グラフェン分散液を150 ml滴下し,回転数1000 rpmでスピンコートを行った。1日の自然乾燥を行った後,170℃で20分間仮焼成を行い,その後,大気中で300℃加熱を行った試料が,表面状態も肉眼では均一で,ラマン散乱測定においても,グラフェンのGピーク強度が最も強く現れた. さらに,グラフェン表面に硝酸水溶液の液滴を流し,この液滴とグラフェン間の摩擦電気により,電極間に生じる電位差を利用した測定を行った.液滴中の硝酸イオン濃度が増加するにしたがい,電位差が大きくなることが分かった.スズ添加酸化インジウムの場合と比較して,グラフェンの起電力が数十倍大きいことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では2つの課題を挙げ,課題1-原子層薄膜のガスセンシングと課題2-原子層薄膜で作製したポテンショメトリックセンサーを用いたヒトの血液中の一酸化窒素の検出としている.令和2年度では,主に課題1に取り組み,原子層薄膜を用いて, 一酸化窒素吸着により電気抵抗を大きく変化させ,この検出感度を顕著に増大させることを目標に研究を進めた.令和3年度では,ヒトの血液中の一酸化窒素の検出の予備実験として,グラフェンの拡張ゲート電界効果トランジスタ(EGFET)を用いた硝酸イオンの検出の実験を進め,令和4年度では,硝酸イオンを含む様々な水溶液を用いてEGFETの測定を行った. 令和5年度は,拡張ゲートの電極材料として新たに酸化グラフェンを用いることを検討した.PVA添加による酸化グラフェンの膜厚は,PVAを添加する前と比べて約10倍になった.しかし,300℃の加熱条件では,PVAが完全に気化せず,酸化グラフェン膜内に不純物として含まれたままとなる.今後,成膜条件のさらなる探索が必要である.グラフェン表面に硝酸水溶液の液滴を流し,この液滴とグラフェン間の摩擦電気により,電極間に生じる電位差を利用した測定を行った.スズ添加酸化インジウムの場合と比較して,グラフェンの起電力が数十倍大きいことを確認した.これは短時間でかつ少量の被検液での硝酸イオンの電気的な測定が可能であることを示している. 今後の課題は,塗布した酸化グラフェンの薄膜化が必要である.薄膜化により,拡張電極表面での電位変化を効率よくゲートに伝えることができるようになる.さらに,さまざまなイオンを含む溶液で測定を行った場合,硝酸イオンのみを選択的に検出することである.グラフェンや酸化グラフェン上に,特異的に硝酸イオンを検知するプローブ分子を修飾させることが必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
「原子層薄膜で作製した半導体デバイスを用い,ポテンショメトリックセンサーを開発し,ヒトの血液中の一酸化窒素を簡便にリアルタイムでモニタリングすることが可能か」が本研究の問いである.この課題を解決するために,令和4年度は 硝酸イオンを含む様々な水溶液を用い,拡張ゲート電界効果トランジスタ(EGFET)の測定を行った.今年度は,グラフェンよりも欠陥サイトが多いと考えられる酸化グラフェンの成膜を試みた.さらに,グラフェン表面を流れる少量の硝酸水溶液の液滴によって生じる電位差発生を利用した測定も実施し,スズ添加酸化インジウムの場合と比較した.一酸化窒素は液体中では,硝酸イオンや亜硝酸イオンとして存在していると考えられる.血液を使用する前に,様々な他のイオンを含んでいても,選択的に硝酸イオンや亜硝酸イオンのみを電気的に検出することが重要である. ガラス基板上に酸化グラフェンの水分散液を効率的にのせる方法として,シランカップリング処理を行う予定である.これにより,PVAを用いなくても,酸化グラフェンを成膜でき,薄膜化することを試みることができる.また,硝酸イオンを選択的に検知するためには,グラフェンや酸化グラフェン上に,特異的に硝酸イオンを検知するプローブ分子を修飾させることが必要である.その候補物質として,先行研究を参考にすると,トリエチルベンジルアンモニウムクロリドや,2,9-ジメチル-4,7-ジフェニルフェナントロリン銅錯塩を使用することを検討している.さらに,グラフェン表面に硝酸水溶液の液滴を流し,この液滴とグラフェン間の摩擦電気により,電極間に生じる電位差を利用した方法の測定原理の解明や測定精度を上げることである.この液滴の測定では少量でよいので,ヒトの血液を用いた測定を考えると,EGFETよりも液滴測定の方が,優位性が高い可能性がある.
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