Project/Area Number |
20K11471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 浩一 日本大学, 工学部, 教授 (40579728)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 言葉と概念 / 精神と身体 / 教育学と身体 / 知・徳・体 / 身体教育と運動教育 / 体育とスポーツ |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、歴史上、幅広く、多義的であった身体教育の概念がいつ頃から、なぜ、現れるようになったのか、また、その概念はどのように変遷するのか、を明らかにすることにある。これにより、初期の身体教育から失われていった概念と、今日において強調されている概念との相違が明確となる。 その検討手段として、本研究は、二つの「身体」(生体・媒体)という、新たな観点からの究明を行う。これにより、子供たちの体力の低下が叫ばれる現在、これまで明らかにされていない過去の事例を発掘することで、将来を考える基礎資料とし、また、「体育」と「スポーツ」両者の相違を歴史的に明確にすることで、今日的問題点を明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海外の先行研究でも行われていない、欧米における身体のための教育(以下、身体教育)の概念の起源と、その概念の変遷について明らかにすることを目的とする。日本における身体教育の概念については、先行研究(木下秀明『日本体育史研究序説』)が指摘するように、明治初期、欧米教育学説の紹介により「体育」という言葉が造語されることに始まる。したがって、その概念の起源は、欧米にあるが、未だに検討されていない。 令和5年度は、"physical education"という言葉がいつから使用されるようになり、その概念がどのように伝搬し、日本に伝わるのか、について明らかにする計画であった。しかし、海外への渡航が制限されていたため、資料の収集が思うようにできない状況となった。そこで、苦肉の策ではあるが、ネットを活用し、各国図書館の蔵書目録を検索し、古い辞書や図書で"physical education"の項目の有無を調べた。 一般的に"physical education"の初出はジョン・ロックの"Some Thoughts Concerning Education"(1693年)といわれている。しかし、ロックの著書では身体の健康に言及しているが、"physical education"という言葉は用いられていない。さらに調べた結果、その言葉が現れるのは1世紀後の18世紀からであり、しかも、英語ではなく、フランス語の "education physique"が英語に訳されたものであった。そこで、フランスの国立図書館の蔵書目録で "education physique" と書名にあるものを探し、その言葉の概念を調べたところ、日本に最初に伝わった身体教育の概念とは異なることが明らかとなった。 結局、海外渡航の制限より、当初の計画通りには進まなかったが、今後につながる成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外への渡航が制限されていたため、資料の収集が思うようにできない状況となった。そこで、日本でもできる方法としてネットを活用し、各国の蔵書目録を検索し、古い辞書や図書で"physical education"の項目の有無を調べた。しかし、現地でなければ調べられない資料があるため、資料収拾の厚みに欠け、学会発表するまでには至らず、当初の計画通りには行かなかった。 また、最初の"physical education"を見付ける手がかりはつかめたが、その概念がその後、どのように伝搬し、日本に伝わるのか、について検討するまでには至らなかった。 しかし、今後につながる結果を得ることができたので、令和6年度からはその成果を生かし、海外出張費を活用して、資料収集に努める予定である。 以上から、令和5年度は「やや遅れている」という状況にあると判断できる。 研究成果としては、令和6年度の9月にこれまでの研究成果をまとめた著書を1冊、出版する予定となっているので、この点では順調に進んでいると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度が最後の年度になるので、研究成果をまとめるべく、準備する予定である。また、最終年度には、日本に紹介される以前の段階で、"physical education"に身体教育の概念と共に、運動教育の概念がいつ、どのように認められるようになるのかを検討する。 先行研究では日本への運動教育の概念が普及するのは明治10年代後半からとされている。しかし、日本へ"physical education"という言葉が紹介される以前から、運動教育の概念で理解する場合があるため、もっと早い段階で紹介されていることを明らかにしたい。この調査の糸口として、日本に運動教育の概念を普及させた初代文部大臣の森有礼に注目する。森は明治初期の外務省外交官時代から、日本の教育改革に関心を示し、欧米の教育制度の調査を行っている。そして、明治12年に当時一般的であった身体教育ではなく、運動教育の概念で主張する「教育論 身体ノ能力」を発表している。 しかし、『新修 森有礼全集』を見ても、海外での活動内容についてはわずかな記録しか残されていない。そこで、森が外交官時代に訪れた国々おいて、当時の新聞・雑誌記事などを調査し、教育論との関連を明らかにし、韓国の東アジア日本学会で発表する計画である。 以上の作業と並行して、令和5年度に未検討であった課題も含めて進める予定である。この点については、下準備ができており、海外渡航が可能になれば達成できるものと考えている。
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