黄ニラの細胞内グルタチオン上昇を介した肝臓保護作用に関する研究
Project/Area Number |
20K11662
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
川上 賀代子 就実大学, 薬学部, 講師 (00505935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 誠二 就実大学, 薬学部, 教授 (50172052)
守谷 智恵 就実大学, 薬学部, 教授 (60253001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 黄ニラ / グルタチオン / 酸化ストレス / 地方野菜 |
Outline of Research at the Start |
生体内の抗酸化物質であるグルタチオン量を高めることは、酸化ストレスが関与する疾病の予防に有効であることが期待される。申請者のグループでは細胞内グルタチオン上昇活性をもつ食品成分のスクリーニングを行っており、黄ニラに強い活性があることを見出した。本研究では、黄ニラが細胞内グルタチオン上昇を介して酸化ストレスによる肝臓障害保護作用を発揮することを明らかにし、機能性食品素材とすることを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスは、糖尿病をはじめ様々な疾病の発症や増悪化に関わると考えられている。 生体内の抗酸化物質であるグルタチオン量を高めることは、酸化ストレスが関与する疾病の治療や予防に有効であることが期待される。申請者のグループでは細胞内グルタチオン上昇活性をもつ食品成分のスクリーニングを行っており、黄ニラに強い活性があることを見出した。黄ニラは岡山県の地方野菜であるが、認知度は低く、その機能性や成分はほとんど明らかとなっていない。本研究では、黄ニラが細胞内グルタチオン上昇を介して酸化ストレスによる肝臓障害保護作用を発揮することを明らかにし、機能性食品への応用および地方野菜の振興につなげることを目的としている。 アセトアミノフェン(APAP)は解熱鎮痛剤と広く使用されているが、過剰に摂取すると肝臓中のグルタチオンが枯渇し、代謝物のNAPQIが酸化ストレスを引き起こすことで肝障害を誘導する。そこで、マウスを用いて黄ニラ抽出物のAPAP誘導肝障害抑制作用について検討した。黄ニラ抽出物を摂取することにより、血清中のAST、ALTおよびLDHのAPAP肝障害による上昇が有意に抑制された。また、肝臓中のグルタチオン量はAPAP投与群と比較して、黄ニラ抽出物摂取群では上昇がみられた。さらに、黄ニラ抽出物の摂取によりAPAPによる中心静脈周囲の肝細胞の壊死の抑制がみられた。次に、抗酸化酵素群の発現量を調べたところ、黄ニラ抽出物摂取により抗酸化酵素であるHO-1、NQO1、GPx、xCT、および、Nrf2発現の誘導が見られた。以上の結果から、黄ニラ抽出物はNrf2を介して抗酸化酵素を誘導し、APAP肝障害の抑制作用を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、下記の内容で実験を行い研究はやや遅れている。 1.黄ニラ抽出物による細胞内グルタチオンメカニズムの解明 昨年度の結果から、黄ニラ抽出物による細胞内グルタチオン上昇作用に転写因子Nrf2が関与していることが示唆されたため、Nrf2をノックダウンし、黄ニラ抽出物の添加によるHepG2細胞内グルタチオン上昇を調べた。Nrf2をノックダウンすると黄ニラ抽出物による細胞内グルタチオン上昇作用は抑制された。細胞内グルタチオン上昇作用に対するキナーゼ阻害剤の影響から、ERKが一部関与していることが示唆された。 2.アセトアミノフェン肝障害モデルマウスに対する有効性の検討 ICR雄性マウスに7日間、黄ニラ抽出物(25 mg/kgまたは100 mg/kg)を経口投与した。18時間絶食後にアセトアミノフェン(APAP)を700 mg/kg腹腔内投与し急性肝障害を誘導した。6時間後に解剖を行い、血液と肝臓を採取した。血清AST、ALT、ALPおよびLDHと肝臓中のグルタチオン量を測定した。また、肝臓はホルマリンで固定後、HE染色により病理学的評価を行った。マウスにAPAPを腹腔内投与することにより、肝機能のマーカーであるAST、ALT、ALPおよびLDHは有意に上昇したが、黄ニラ抽出物をあらかじめ摂取することにより、濃度依存的に低下した。また、肝臓中のグルタチオン量はAPAP投与群と比較して、黄ニラ抽出物摂取群では上昇がみられた。さらに、黄ニラ抽出物の摂取によりAPAPによる中心静脈周囲の肝細胞の壊死の抑制がみられた。次に、抗酸化酵素群の発現量を調べたところ、黄ニラ抽出物摂取によりHO-1、NQO1、GPx、xCT、および、Nrf2発現の誘導が見られた。以上の結果から、黄ニラ抽出物はNrf2を介して抗酸化酵素を誘導し、APAP肝障害の抑制作用を示すことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から、黄ニラ抽出物がアセトアミノフェン誘導肝障害を抑制することを明らかとなった。次年度は本年度実施できなかった別の疾患モデル動物を用いた黄ニラ抽出物の有効性の評価を行う。 ◎非アルコール性脂肪性肝疾患モデルマウスに対する有効性の検討 C57BL/6マウスを高脂肪高ショ糖食または黄ニラ抽出物含有の高脂肪高ショ糖食で12週間飼育する。経時的に食餌摂取量、体重を測定する。最終日には採血と解剖を行う。内臓脂肪組織(腸間膜脂肪、副睾丸脂肪、後腹膜脂肪)重量、血清中のAST、ALT、グルコース、インスリン、コレステロール、トリグリセリド、酸化ストレスマーカーの測定や、肝臓のグルタチオン量、病理学的画像解析から非アルコール性脂肪性肝炎の改善がみられるか評価する。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)