Project/Area Number |
20K11824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60070:Information security-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
吉岡 大三郎 崇城大学, 情報学部, 教授 (70435147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 暗号 / カオス / 可換多項式 / 代数 / 軽量暗号 / IoT |
Outline of Research at the Start |
マイコンやICチップ,センサーなどの小型機器や多様なデバイスとの接続が進むIoT時代に向けて,安全かつ小型回路実装容易な“軽量暗号”を設計する.本研究では,ディジタル実装に適する2べき剰余環上に離散力学系を展開し,安全性と軽量性を両立する新しい軽量カオス暗号を提案する.本研究で提案する軽量カオス暗号の安全性とハードウェア実装性能を評価し,現在広く使われる標準暗号AESと比較することで,本研究の有効性を実証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
通信の秘匿性の確保をはじめ,改ざん検出から認証技術にまで応用される暗号は,情報セキュリティを支える主要素技術である.暗号は共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の2つに大別され,共通鍵暗号方式は標準暗号AES(Advanced Encryption Standard)が標準暗号として従来より用いられてきた.公開鍵暗号系は代数学に基づくDH鍵共有方式やRSA暗号が広く知られている.今後,マイコンやICチップ,センサーなどの小型機器や多様なデバイスとの接続が進むIoT(Internet of Things)時代に向けて,安全かつ省リソースで実装可能な軽量暗号が求められている. 暗号用変換関数として,大きな整数の剰余計算を多数使用することが多く,その計算コストに課題があり,IoTデバイス実装には不向きである.一方で2べき剰余は下位ビットを取り出すことが剰余計算に相当するため,その計算負荷は極めて小さい.よって2べき剰余演算上暗号用変換関数の構築が大変魅力的となり,その候補として2変数可換多項式が挙げられる.しかしながら剰余環上では必ず周期的軌道となり,周期的性質が暗号解読につながる可能性があるため,その性質の議論が重要となる.そこで令和5年度では,2べき剰余環上2変数可換多項式の周期的性質を理論的に明らかにした.その成果を電子情報通信学会主催の国内学会,研究会で発表し,また情報理論分野の著名な国際会議であるIEEE ISITにて研究発表も行っている.また,次年度以降には一般の素数べき剰余環上における同様の検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の対応により令和2,3年度の2年間は研究活動に遅れが生じていた.令和4年度には,復号回路の簡略化を目的として,暗号で用いられるS-boxの逆変換を実現する手法を提案し,その成果を電子情報通信学会主催研究会,オンライン国際会議に発表し,英文論文誌(NOLTA, IEICE)も出版されている. 令和5年度では,計算負荷が極めて小さい2べき剰余上暗号変換関数の検討に取り組み,その候補として2変数可換多項式に注目し,暗号への応用上重要となる周期的性質を理論的に明らかにできた.その成果は国内学会,研究会に発表し,また情報理論分野の著名な国際会議であるIEEE ISITにて研究発表も行っている. コロナ禍の2年間の遅れが生じたが,主要論文誌や国際会議の掲載も達成するなど成果も出つつあり,予定よりやや遅れていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では整数上カオス写像に基づく16bit S-boxを提案しており,令和4年度の研究成果により,その復号回路の効率設計法を確立できた.今後は,その16bit S-boxを8個用い,128ビット暗号を設計する.解読耐性向上のために各S-box出力値の変化と暗号鍵が全体によく混ざるように,混合変換を検討する.その後,代表的な暗号解読耐性の指標として知られる最大差分特性確率と最大線形特性確率の上限値を導出し,十分な解読耐性をもつ128ビット暗号を設計する. 次に,32ビットや64ビットソフトウェア上で実装ならびに8ビットマイコン上で実装した場合のメモリ使用量と処理サイクル数を評価する.また,ハードウェア記述言語Verilog-HDLを用いた論理記述,論理シミュレーションツールによる暗号化・復号化の動作確認後,FPGA(Field Programmable Gate Array)や東京大学VDEC(VLSI Design and Education Center)が提供する標準的なCMOSスタンダードセルを用いたLSIチップ試作などのハードウェア上に実装し,暗号・復号回路の動作実験を行う.標準暗号AESとソフトウェアおよびハードウェア実装性能について比較し,本研究手法の有効性を実証する予定である. また,一般の素数べき剰余環上2変数可換多項式が暗号用変換の候補となりえるか,その周期的性質も明らかにする予定である.
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