Project/Area Number |
20K11999
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61040:Soft computing-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
肥川 宏臣 関西大学, システム理工学部, 教授 (10244154)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 自己組織化マップ / ハードウェアアクセラレータ / 画像認識 / 脳波 / Fashion-MNIST / MNIST / 過学習 / ニューラルネットワーク |
Outline of Research at the Start |
画像認識の分野では深層学習モデルにより高性能な画像認識システムを実現できるが,処理内容についての説明性が低いという問題があり,自動運転など安全性が強く求められるような分野への応用が躊躇されるという傾向がある. 本研究では,自己組織化マップ(Self-Organizing Map: SOM)を用いた新しい画像認識アルゴリズムを開発し,説明性を保持したまま高い認識性能を持つシステムの開発を目指す.複数のSOMを用いることで,SOMの画像認識における問題を解決することで認識性能向上を行い,深層学習モデルと同等の認識性能を目指す.また,処理の高速化のための SOM アクセラレータの開発を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,階層化ふるい分け自己組織化マップ(Self-organizing map: SOM)の認識性能の確認,SOM の演算を高速に行う専用ハードウェアの開発,SOM の新たな応用研究として脳波の分類に関する研究を行った. まず,認識率の改善について,階層化ふるい分け SOM のベースとなる Class-SOM の認識性能の特性を調べた.Class-SOM は認識対象(クラス)ごとに SOM を複数用意して学習を行うが,認識画像を元画像から切り出して,ばらつきを付加した学習データを用いることで認識性能が向上することが明らかになった.対象となる画像データによる違いを調べるため,昨年度と異なるデータセットを用いて実験を行った. 専用ハードウェア開発については,前年度までに提案した入れ子構造にしたハードウェアSOMアーキテクチャを国際ジャーナルで発表した.さらに,ハードウェア SOM の性能改善を念頭に置いた SOM の演算に使用される非線形関数のハードウェア設計を行った.従来からハードウェア SOM で用いられてきた2値関数に乱数を加えることで,非線形的な性質を持つ関数となり,SOM の量子化誤差が減少することを明らかにした. 階層化ふるい分け自己組織化マップの将来的な応用として,脳波分類の可能性について検討した.先行研究として,単体の SOM を用いて脳波から顔の表情を認識するシステムを開発して評価実験を行った.その結果,予想以上に良好な結果が得られたため,この成果を国際ジャーナルで発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案する階層化ふるい分け自己組織化マップのベースとなる,Class-SOM の認識性能を調べる実験を行った.昨年度,学習データにばらつき付加による認識率の改善を提案している.この効果を調べる実験を指文字(American sign language)データセットを用いて行った.その結果,小規模な SOM でも高い認識率が得られることが明らかになった. ハードウェア SOM の開発については,認識性能の改善につながる量子化誤差を改善する回路の開発を行った.そのために,SOM の改良を行った.簡単なため従来のハードウェア SOM で用いられてきた二値近傍関数に,デザリング(乱数によるノイズを付加する)処理を行う近傍関数を開発した.デザリングにより,二値関数がガウス関数的な非線形特性となることを理論解析により明らかにした.また,プログラム可能な論理素子である FPGA に,提案する近傍関数を持つ SOM を実装することで性能評価を行った.その結果,量子化誤差が減少することを実験で示した.また,回路規模の増加,動作速度の低下もも無視できる程度なことを明らかにした.この成果を国内研究会で発表するとともに,国際ジャーナルに投稿中である. 新たな SOM の応用として,BCI (Brain Computer Interface) を想定して,脳波からの信号を用いた顔の表情を認識するシステムを開発した. OpenBCI の Ultracortex Mark IV を用いて脳波を取得し,PC 内で前処理と SOM によるジェスチャ認識を行う認識システムを開発し,認識実験を行った.システムは,ほぼリアルタイムで動作し,認識ジェスチャ数2,4,5,7 で,認識率は,それぞれ 97.6%, 94.4%, 92.7%, 77.0% となった.この成果を国際ジャーナルで発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
学習画像の切り出しをランダムに行うことで認識率の改善が確認できたが,2022 年度の FMNIST データセットに対する認識率改善より,2023年度の指文字データのほうが改善効果が高かった.この結果を考慮して,より一般的な画像データである FMNIST に対する切り出し方法の改善を行い,さらなる認識性能の向上を目指す.そして,改良した切り出し方法を用いた Class-SOM に,研究課題として提案するふるい分けを導入して,最終的な認識率の評価を行う. ハードウェア SOM については,乱数を複数回二値関数に加えた確率的演算による近傍関数を用いることで,さらなる量子化誤差の低減を図る.デザリングを加えた二値近傍関数では,関数値が1となるか0になるかが,引数に比例した確率で決まる.これに対して確率的演算では,デザリングを複数回行う.そのため,関数値はその平均値と考えることができ,関数の引数に比例した0から1の間の値となる.シミュレーションと FPGA 実装実験により,その効果を明らかにする. 脳波の認識については,現状のシステムは1回の認識に2~4秒ほどかかる.瞬時に認識が行えるリアルタイム認識システムの開発を行う.また,これと並行して,認識を行う部分を現在のシステムで用いている通常の SOM を ClassSOM, 階層化ふるい分けSOMに置き換えて認識実験を行い,提案する階層化ふるい分けSOMの最終的な評価を行う.
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