Project/Area Number |
20K12021
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61060:Kansei informatics-related
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
地本 宗平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80324185)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 大脳皮質聴覚野 / 音圧振幅変化 / 単一ニューロン記録 / 覚醒動物 / 一次聴覚野 / 純音刺激 / 人工音刺激 / 自然音刺激 / 単一細胞記録 / 一過性応答 / 持続性応答 / 聴覚野 / 単一細胞活動 / 人工音 / 自然音 / 音情報処理 / 音知覚 |
Outline of Research at the Start |
音の心理的性質には大きさ、高さ、音色といった音知覚があり、これらは音の三要素として知られ、音の物理的な情報が末梢聴覚系を経て最終的に聴覚野において神経活動パターンに符号化され生じると考えられている。この音知覚は音声識別や音源認知のための基礎でありその機能により動物は外部環境から音情報を得、音声を使ってコミュニケーションをすることが可能になる。心理物理学的研究により音知覚にはパワースペクトラム、波形包絡線、成分音の位相等の音響因子が関連することが知られているが、その神経基盤、特に大脳皮質での神経表現は不明である。本研究では音知覚の決定因子の聴覚野内神経表現を単一細胞レベルで解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
外部環境音情報を知覚し音声や音源を識別認知することは必要不可欠な生理機能である。本研究では大脳聴覚野の単一神経細胞が自然音知覚のためにどのような音響情報を処理しているかを明らかにする。自然な音響環境下で音は様々な振幅変化を伴った時間包絡をもつ。精神物理学的研究により、時間的に非対称的な音圧変化特性が音の知覚や同定に影響を及ぼす事が知られている。 これまでに振幅変化音刺激中の一次聴覚野(A1)の反応特性を調べ、音包絡の特定の特徴に同調する2つの細胞タイプを発見した。edge細胞は急な立ち上がりや減衰など、時間的な境界に感受性を示し、slope細胞はゆっくりとした立ち上がりや減衰に感受性を示した。しかしA1以外の聴覚野では音圧振幅変化音に対してどのような応答パターンを示すのかについて単一細胞レベルで系統的に調べられておらず不明である。本年度は音識別に重要な音圧振幅変化に対する応答を覚醒動物の前聴覚野(AAF)、後部聴覚野(PAF)および二次聴覚野(A2)から記録し、その応答タイプと聴覚野内での分布を解析した。 振幅変化音に応答したAAF細胞の8割以上がedge細胞に分類され、急激な音圧変化に選択性を示し、残りの細胞はゆっくりとした音圧変化に同調した。これら細胞タイプの分布を調べた結果、A1と異なりAAFでは急峻な音圧変化に選択性を示す細胞の割合が高いことが明らかになった。 一方、高次聴覚野であるPAFとA2では振幅変化音に応答を示した細胞の約半数がA1やAAFで記録されたedge細胞やslope細胞に相当する音圧変化の速度に選択性を示す細胞タイプに、約4割が音圧変化の方向に選択性を示す細胞タイプに分類された。細胞の記録部位の分布を調べた結果、slow細胞はA2とPAFの両方に分布していたが、edge細胞はA2にのみ確認された。音圧変化の速度選択性細胞はA2に多く分布していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聴覚野細胞の内、前聴覚野(AAF)、後部聴覚野(PAF)、二次聴覚野(A2)について振幅変化音に対する応答特性を計測した。AAFの細胞はdamp音のオンセットおよびramp音のオフセットに一過性に反応し、音圧の急激な変化が生じる時間的な境界に感受性を示した。またAAF のedge細胞の中にはA1と同様に両音のオンセットとオフセットの両方、または両音のオンセットのみに一過性に反応するパターンを示す細胞も存在した。また少数ではあるがAAFにも音圧のゆっくりとした立ち上がりや減衰する期間に持続的に反応するslope細胞が存在することを発見した。PAFとA2では、A1とAAFで記録された速度感受性細胞以外に、damp、ramp音刺激のそれぞれ緩やかな音圧下降と急激な音圧下降とrectangular音刺激の急激な音圧下降に選択的に反応し、音圧下降に同調するdownward-slopeタイプとdamp、ramp音刺激のそれぞれ急激な音圧上昇と緩やかな音圧上昇とrectangular音刺激の急激な音圧上昇に反応し、音圧上昇に選択的に同調するupward-slopeタイプの二種類の方向選択性細胞が応答する細胞全体の4割近く存在することが明らかになった。 本年度はそれぞれのタイプの聴覚野内での分布について解析し、概要に示したような結果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、音圧の振幅情報とともに音刺激のスペクトル情報を系統的に変化させた時の、各聴覚野(A1,AAF,PAF,A2)の振幅変化音応答細胞について、その音響パラメータ(周波数応答特性、音圧変化速度、刺激期間、音圧変化方向)特異性について解析を行なう予定である。これらの解析により、領域特異的な音響パラメータの処理機構が明らかになると考えられる。
|