複雑系アプローチによる藻場環境シミュレータの構築と藻場の生態系レジリエンスの解明
Project/Area Number |
20K12265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
福見 淳二 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (30300627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (10259822)
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (40208955)
中西 達也 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), 徳島県立農林水産総合技術支援センター(水産研究課), 研究員 (40521729)
吉見 圭一郎 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), 徳島県立農林水産総合技術支援センター(水産研究課), 研究員(専門・係長) (50636040)
住友 寿明 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), 徳島県立農林水産総合技術支援センター(水産研究課), 研究員(専門・係長) (20502222)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 360°カメラ / 単眼深度推定モデル / マルチエージェントシステム / カオス・フラクタル析 / 藻場モデル水槽 / カオス・フラクタル解析 / マルチスペクトルカメラ / 藻場環境シミュレーション / 生態系レジリエンス |
Outline of Research at the Start |
藻場の再生・保全のためには、藻場生態系の相互作用ネットワーク構造や生態系レジリエンス機能の解明が必要である。 本研究では複雑系の視点から藻場全体を捉え、マルチエージェントシステムを適用することで、藻場全体の挙動を解析・定量化する藻場モデルを構築する。さらに、環境パラメータの変動が生態系の安定性にどのような影響を及ぼすのかを、カオス・フラクタル理論を利用した植食動物の行動モデルを組み込んだ藻場モデルシミュレーションと藻場水槽実験を連動させて解析することで、藻場生態系の相互作用ネットワークの構造および生態系レジリエンス機能の解明につなげていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大型水槽に実際の藻場に近い環境を構築し位置推定実験を実施した。実験環境としては、藻場に生息するアイゴを1匹~3匹投入した水槽に海藻を1株~3株設置し、アイゴの行動にどのような変化が表れるのかを比較検証した。その際に、構築済みの植食動物行動計測システムに対してYOLOv5およびアイゴの新規学習モデルを用いることで海藻に魚体が隠れた場合の検出精度向上を図った。検出精度を比較したところ、海藻などの遮蔽物の無い場合には、約96%の精度で認識が可能であることを確認したが、水槽内に海藻などを設置した場合には認識精度が約72%まで低下した。また、単眼深度推定モデルの推定精度を検証した結果、画像により推定結果が安定しない現状が生じており、さらなる検証が必要となっている。しかしながら、データの欠損を補間することで、アイゴの水槽内での行動の変化を把握することは可能であることを確認している。 行動解析にはカオス解析手法を適用し、水槽内に海藻が有る場合と無い場合でアイゴの行動にどのような変化が見られるのかを検証した。その結果、海藻が有る場合には行動のランダム性が減少し、海藻周辺を遊泳する時間が多くなる等行動パターンに明らかに違いが見られ、カオス性指標であるリアプノフ指数の変化により捕食行動が分類できる可能性を確認した。また、アイゴの行動パラメータ(遊泳速度、遊泳方向など)を基にしたアトラクタの形状からもランダム性の減少が見られ、行動パターンの変化が検出可能であると考えられる。 マルチエージェントシステムを用いた藻場シミュレーションの基盤システムを構築し、過去の海水温や、日照量等の実データを基に、環境変数の少しの変化が植食動物の個体数バランスや海藻の生育に影響を及ぼすことも確認した。今後は、実際の沿岸域でのデータを収集するとともに、シミュレーションの精度向上を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、徳島県立農林水産総合技術支援センター美波庁舎に設置している大型水槽にて藻場モデル環境を構築しデータの取得や環境計測システムの開発を実施している。しかしながら、2023年度に美波庁舎の海水汲み取り施設が老朽化のため故障し、水槽実験の実施が困難な状態となっている。海水の循環ができないため、魚類の飼育にも限界があり、2023年度は2、3回の実験しか実施できず、モデル構築のための十分なデータが取得できていない。そのため、当初の計画から遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、徳島県水産研究課美波庁舎の海水汲み取り施設の故障により水槽実験の実施が困難な状況であるが、近隣の漁協の協力のもと、海水の送水設備の新設などを計画しており、設備が整えば水槽実験も実施可能となる。仮に、送水設備の整備に時間がかかるようであれば、徳島県牟岐町や鳴門市の他地域の水産研究課施設に水槽を移設することで実験を実施することも想定している。 行動モデルの生成や、マルチエージェントによる藻場シミュレータの構築に関しては、現在取得済みのデータを基に計画に従って開発を進める。追加データが取得でき次第、システムの改善や精度向上を図る予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(11 results)