パキスタン系ムスリム移民社会における「強制結婚」:ノルウェーの事例研究
Project/Area Number |
20K12324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
小牧 幸代 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | パキスタン / ノルウェー / ムスリム / 移民 / 強制結婚 / ディアスポラ / イトコ婚 / NGO / ジェンダー暴力 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ノルウェーのパキスタン系ムスリム移民社会について、ホスト社会との関係、出身地との結びつき、さらに移民社会自体のありようを、「強制結婚」という切り口から考察する。ノルウェーでは1990年代に移民の文化としての強制結婚とその対策に公的な関心が寄せられるようになり、2000年代には刑法や婚姻法が改正され、NGOの活動も活発化した。しかし、強制結婚の実態は解明できておらず、対策も手探りの状態が続いている。本研究では、移民とその家族へのインタビュー調査、NGOの活動の調査、他国の事例との比較を通じて、移民社会の独自性とホスト社会の地域的文脈の両方を尊重した強制結婚対策のあり方を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の3年目である2022年度は、これまでの調査で収集したデータの整理と分析をおこなうとともに、インターネットや文献資料を通じて最新の関連情報を収集した。現地調査は、国内と海外の両方で実施した。まず、国内では関東地方のパキスタン系移民社会において、永住資格をもつパキスタン人男性と結婚したパキスタン人女性の不安定な法的地位と経済状況について聞き取った。この事例は親が決めた結婚であり、当事者には意見をする余地がなかったことから、一種の「強制結婚」だといえる。滞日経験が長い花婿は、ニューカマーの花嫁にとって同じパキスタン人でありながら宗教的・倫理的な思考・行動面では「他者」であり、結婚生活は厳しい局面を迎えている。滞日パキスタン人女性が抱える困難の背景に、「強制結婚」がどのようなかたちで関わっているかについて今後も調査を継続することで、ノルウェーや英国との比較分析をより充実したものにしていきたい。関東地方のパキスタン系移民社会では、「葬送儀礼」に焦点をあてた参与観察とインタビュー調査も実施した。その成果は「滞日パキスタン系ムスリム・コミュニティの葬送儀礼:関東地方の事例を中心に」というタイトルの論文にまとめ、一般公開した。他方、海外での調査はインドでおこなった。パキスタンと同じくインドも、多くの移民をノルウェーに送り出している。そこで、移民送出の背景について資料を収集するとともに、封切られて間もないインド映画「Mrs Chatterjee Vs Norway」(チャタジー夫人対ノルウェー)を劇場で鑑賞することで、南アジアの慣習とヨーロッパの法律がミクロなレベルでどのように衝突し事件化していくか、そしてそれがいかにフィクション化されるかの理解に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していたノルウェーでの現地調査は諸般の事情により実現しなかったが、これまでに蓄積してきたデータを整理し分析する作業や文献研究、ネットでの情報収集ならびにSNSでの情報交換は想定以上にできている。また、国内のパキスタン系移民社会で実施した現地調査は「強制結婚」だけでなく「葬送儀礼」にまで拡大しておこなうことができた。葬送儀礼は、実際、婚姻儀礼と密接に結びついている。誰とどのような結婚をするかが、どこで誰にどのように弔われ埋葬されるかを方向づける傾向にあるからである。以上から、次年度に実施するノルウェーでの現地調査に向けて、準備は着実に進んでおり、効率的かつ有意義な調査を実現する段取りができている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査研究の主要な部分を海外での現地調査・資料収集が占めているため、これまでは様々な制限・制約があり困難を極めた。だが、昨年度からコロナ禍も終息の兆しを見せており、海外調査も部分的に再開できた。今後は、引き続き文献資料とネットでの情報収集や国内での現地調査もおこないつつ、海外の現地調査にかかわるインフォーマントとの連絡もこれまで以上に密にして調査活動を本格化する。具体的には、2023年度は、ノルウェー(オスロ)と英国(マンチェスター)のパキスタン系移民社会で、コミュニティ調査とインタビュー調査(とくにニューカマーや女性・少女を対象とする)をおこなう。 また、日本国内でも同様の調査をおこなう。2024年度は、オスロのNGO団体とのコラボ企画を通じて、研究成果が当事者に届くような形での公表をおこなう。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)