Project/Area Number |
20K12327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
渡邉 暁子 文教大学, 国際学部, 准教授 (70553684)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | フィリピン / ムスリム / ハーフ / メスティソ / 教育 / キャリア / 選択 / エスニシティ / 社会関係資本 / 異文化間結婚 / 第二世代 / アイデンティティ / 新型コロナウィルス / ソーシャルメディア / 新型コロナウイルス / フィリピン・ムスリム / 「成功」の論理 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フィリピン・ムスリム社会において「ハーフ」や「メスティソ」と呼ばれる異文化間結婚家族の2世を対象にする。かれらの生存戦略、特に「成功」の論理には親世代とどのような異同があるのか、エスニシティをどう捉えているのか、また、エスニシティを固定化させようとする複数のポリティクスと規範からどのような影響を受けているのかを、マニラおよびフィリピン・ムスリムの「故地」の南部フィリピンと比較検討する。これにより、国家、宗教、民族、社会階層、ジェンダー等の複合的な範疇が個人の選択や生活実践といかに結びつき、またそれらがフィリピン・ムスリム社会の再編とどう関わりうるかを実証的に明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、国際結婚・異教徒間結婚・異民族間結婚の親をもち、「ハーフ」や「メスティソ」であるフィリピン・ムスリムを対象に、J.オグブのマイノリティとしての教育達成と彼らの教育やキャリアに対する「参照の論理」をもとに、調査を進めた。2023年度は、フィリピンの首都および南部フィリピンのサンボアンガ市、イサベラ市を訪問し、10名弱の対象者に対して、聞き取りを行った。そこから、調査協力者たちが、フィリピン・ムスリム社会、地域のキリスト教徒社会、ムスリムの親族などを「障壁」とし、それを乗り越えるために、教育において、親の教え、個人主義、イスラームといった異なる参照の論理を使用していることがわかった。 これまでの調査研究で得られたデータから、2024年5月にフィリピンのイリガン市で開催されたPhilippine Political Science Associationの国際会議で"Reconsidering the Frame of reference as a survival strategy for “halfs” and “mestizos” of the Philippine Muslims living in-between ethnic and religious groups: A preliminary study"というタイトルで中間報告として発表をした。この国際会議のテーマは、Reimagining Borders, Reclaiming Marginsということから、本研究においては、周辺化されてきたムスリム人口においても、さらに周辺化されてきた人々にフォーカスを当てる点に意義を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で渡航が禁止されていたフィリピンで現地調査ができたのは2022年からである。本来の調査計画から2年ほど遅れてしまったが、これまでの調査研究で得られたデータから、2024年5月にフィリピンのイリガン市で開催されたPhilippine Political Science Associationの国際会議で調査研究の中間報告を発表した。この国際会議のテーマは、Reimagining Borders, Reclaiming Marginsということから、本研究においては、周辺化されてきたムスリム人口においても、さらに周辺化されてきた人々にフォーカスを当てる点に意義を見出すことができた。 この発表の成果として、フロアから非常に適切なコメントを得ることができた。とくに、ムスリムの人たちの「参照枠組」の1つで提示した、イスラームについて具体的にクルアーンやハディースなどを用いてどのように言及しているか、といった視点の不足が見いだされた。これらについては、既存の調査協力者への追加調査によって補填していくことを予定したい。 また、当初の研究計画の遂行において、国内移動先のマニラ、フィリピン・ムスリムのうち、比較的通婚の多いタウスグ人のホームランドであるサンボアンガと、通婚の少ないマラナオ人のホームランドであるマラウィあるいはイリガンの3か所での調査研究を企図していた。このうち、マニラとサンボアンガでの調査は実施てきていたが、先延ばしにしていたマラナオ人につながりを持つ人々について、2024年8月に、イリガン市で調査が実施できる見込みがついた。本年度が最終年度であることから、同市での調査研究を実施し、公表およびさらなる研究につなげていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べた通り、本年5月のフィリピンにおける国際会議がイリガン市で開催され、そこで多くの人とのネットワーキングをおこなった。また、本年3月にも、イリガン市出身の研究者と知り合うことができた。これらのつながりから、同市での調査研究を本年度の8月に実施することを予定している。 加えて、これまでの対象者への補足調査を実施することで、不足していた部分についてのフォローアップをすることを予定する。 本年度後半には、これらの成果を学会にて発表する、または論文として執筆し、投稿することで成果の公表を進めていきたい。
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