経済被害額の算定過程を事例としたインドネシアにおける防災行政の組織間関係の再検討
Project/Area Number |
20K12340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
地引 泰人 東北大学, 災害科学国際研究所, 客員研究員 (10598866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 大輔 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (30784889)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | インドネシア / 組織間関係 / 防災行政 / 経済被害額 / 国家防災庁 / 内務省 / 住民移転 / 生計手段の喪失 / 災害統計 / 経済被害 / 防災 / 行政 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、既往のインドネシア地域研究の成果を踏まえて、自然災害による経済被害額の算定過程における行政組織間関係がどのように調整されているのかを明らかにすることを目的とする。その際に、特に課題とされている住民移転と生計手段を失うことに伴う間接的な経済被害額の算定に焦点を当てる。また、従来の防災分野の先行研究が見過ごしてきた「内務省」の役割に着目する。実施計画としては、1年目は中央政府レベルにおけるインタビュー調査と法的文書の計量的分析を行い、2年目(メラピ火山)と3年目(アグン火山)は地方自治体レベルの調査を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、既往のインドネシア地域研究の成果を踏まえて、自然災害による経済被害額の算定過程における行政組織間関係がどのように調整されているのかを明らかにすることである。その際に、特に算定が難しいとされている住民移転と生計手段を失うことに伴う間接的な経済被害額の算定に焦点を当てる。また、従来の防災分野の先行研究が見過ごしてきた「内務省」の役割に着目する点に本研究の意義がある。 新型コロナウィルス感染症により、研究開始年度である令和2年度及び令和3年度はインドネシア渡航の目途が立たなかった。そのため、被害額のインドネシアにおける経済被害額の算定手法の一つである「災害後復興ニーズ評価調査(Post Disaster Needs Assessment: PDNA)」について文献調査を行った。分析の結果、防災を主務とする国家防災庁(BNPB)だけではなく内務省の役割の重要性や、内務省が策定した「Standar Pelayanan Minimum(SPM: Minimum Standard of Services)」が経済被害額算定に関係する可能性について考察をすることができた。また、インドネシアの独自性を相対的に検討するために、フィリピンを対象として同様の文献調査を実施し、内務省の役割について考察を深めることができた。 これらの結果を、査読を受けた学術刊行物として、Journal of Disaster ResearchとSpringer社の書籍の章として発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、新型コロナウィルス感染症の影響を受けているものの、防災分野の論文誌(Journal of Disaster Research)と(1年目の成果)、国際開発学会で発表を行うことができたこと(2年目の成果)、査読付の学術図書の章を刊行できたこと(3年目の成果)を考慮すると、おおむね順調に進展していると考えている。 当初の実施計画では、2年目はメラピ火山の事例を、3年目はアグン火山におけるインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、申請時の計画に沿って渡航しての活動を行うことができなかった。 その代わりに、インドネシアにおける経済被害額の算定手法の一つである「災害後復興ニーズ評価調査(Post Disaster Needs Assessment: PDNA)」について文献調査を行い、上述したように一定の成果をあげることができた。 予定していた研究期間の最終年度(令和4年度)に、インドネシアへの渡航が可能となり、中部スラウェシ震災の被災地であるパル市で情報収集に着手することができた。中部スラウェシ震災は2018年9月に発生し、近年では被災者数が最大規模の災害であり、住民移転と生計手段を失うことに伴う間接的な経済被害額の算定が課題となったため、検討事例として本研究課題の趣旨と整合している。中部スラウェシ震災の被災地域の一部では、関係省庁や中央政府と地方自治体の連携に課題があり、被災住民のリスト化・データ化に支障をきたしていることが明らかとなった。今後、さらに情報収集を進めて、組織間関係の解明に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していた研究期間ではインドネシアにおける調査を十分に行うことができなかったため、補助事業期間の延長を申請した。 延長期間(令和5年度)は、当初の申請計画で考えていた事例研究(メラピ火山及びアグン火山)の情報収集を進めるとともに、令和4年度に実施した中部スラウェシ震災の被災地であるパル市にも着目して、調査を継続する。「現在までの進捗状況」で先述したとおり、中部スラウェシ震災は2018年9月に発生し、近年では被災者数が最大規模の災害であり、住民移転と生計手段を失うことに伴う間接的な経済被害額の算定が課題となった。特に、一部の被災地域では、関係省庁や中央政府と地方自治体の連携に課題があり、被災住民のリスト化・データ化に支障をきたしていることが明らかとなった。この事象の一因として、被災者自身が住民登録証(Kartu Tanda Penduduk: KTP)を津波により流失・紛失しただけではなく、地方自治体も被災により住民登録データを紛失またはアクセスできない状態に陥ったことがあげられる。中央政府として住民登録を所管する内務省の住民登録総局(Dukcapil)はこうした課題を認識しているようである。大規模な被災者が発生すると、地方自治体内部で防災部局だけではない部局が被災者の情報収集に従事したり、情報収集する主体が入れ替わったり、中央政府でも公共事業・国民住宅省(PUPR)が派遣する調整員が関与したりして、被災者のデータ統合化という基本的な作業の取りまとめに苦労している。メラピ火山及びアグン火山も含めて、被災者データの統合化という視点に着目して、インドネシアにおける防災行政の組織間関係の再検討を進める。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)