Project/Area Number |
20K12785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
上原 賢司 藤女子大学, 文学部, 准教授 (40826179)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | グローバルな正義 / 平等主義 / 天然資源 / 関係論 / グローバル正義 / 分配的正義 / グローバル正義論 |
Outline of Research at the Start |
今ここにある世界において、原油や鉱石をはじめとした天然資源は人類にとって無くてはならない財である。だからこそ、その取引や産出によって国内外の経済は大きく揺れ動き、その占有や利権をめぐって様々な紛争が生じている。さらに天然資源は、人類および地球そのものの持続可能性にとっても重要な要素である。 にもかかわらず、偶然的な産物とみなせるこの天然資源に対して「その恵みを互いにどう分配すべきか」といった規範的な疑問について、十分な考察が尽くされているとは言い難い。そこで本研究は、グローバル正義論の見地から、グローバルに妥当と見なせる天然資源への正義原理を明らかにすることでこの疑問への応答を試みていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、天然資源と分配的正義とを接合する新たな正義構想の可能性についての検討を行った。具体的には、多くのグローバル正義論の議論において共有されている「天然資源に対する平等」という理論前提と、本研究独自の着眼点となる「一つのグローバルな関係性における天然資源の価値」という点とを接合させることで、従来の議論では示すことのできなかった、グローバルな関係性における天然資源への平等主義的正義構想の可能性とその擁護を試みた。上記の議論にあたって、本年度の研究ではM・リッセの「地球の共同所有」およびG・ウェルナーとの共著における「貿易の正義」の主張を批判の対象として扱った。 以上の研究の結果として、本年度は次のような結論を示した。天然資源がもたらす恩恵は人間の生存のための基本的ニーズ充足にとどまるものでもなく、その恩恵はグローバルな一つの関係性の中で有利、不利をもたらす大きな要因となっている。そのため、「関係論的な天然資源の正義論」においても、「天然資源に対する平等」という前提を共有しているのであれば、天然資源が根源的にはもたらしている有利、不利、つまりその分配状況について、平等主義的な正当化がなされなければならない。国家内の成員間とは異なり、また、そうした関係の複数性を考慮しなければならないのがグローバルな関係論的正義であったとしても、「天然資源に対する平等」を踏まえるならば、「関係の平等」を扱うことは「分配の平等」まで射程に収めるべきである。 なお、上記の成果を本年度9月開催の日本政治学会研究大会において報告した。また、本研究の主題とも連動する「コスモポリタニズム」についても、本年度2月出版の論文集の中でその研究成果を発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍の発生による研究計画の変更および、その情勢下における授業負担の増加、新規業務への従事やその他の事情が重なり、当初予定から相当に遅延することとなった。ただ、本年度は本課題の到着点を見通せる研究成果を生み出すこともでき、残す課題は修正と出力のみというところまで進めることもできたため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
一定程度まで先行研究含めた研究の入力や検討作業は済ませられたので、本年度は大学業務が抑え目な夏期から秋期を中心に、研究の出力に注力する予定である。 業務負担の増加や生活環境の変化もあって、時間的にも金銭的にも制限されてしまったため、研究成果の発表先についてはより柔軟に対応していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(5 results)