アメリカ映画史におけるパーソナルな映画実践:「一人称映画」についての研究
Project/Area Number |
20K12850
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川崎 佳哉 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助教 (50801792)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | アメリカ映画 / 一人称映画 / 自作自演 / アメリカン・ニューシネマ / デニス・ホッパー / エッセイ映画 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、映画監督が自身の作品で俳優として演じる「一人称映画」について研究し、アメリカ映画史におけるパーソナルな映画実践の系譜を明らかにすることを目的とする。近年の映画研究では、監督がカメラの前に自ら立つドキュメンタリー映画に対して「一人称」という語がしばしば使用されている。しかし本研究は、フィクション映画、そのなかでもアメリカ映画を対象とし、監督がカメラの前で演じる「一人称映画」の意義について考察する。それによって、大衆的であると考えられてきたアメリカ映画史において、パーソナルな映画実践という系譜が存在していることを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、1970年代以降の「一人称映画」を主な対象として、文献精読と映像テクストの分析を進めた。今日に至るまでの「一人称映画」を取り上げることによって、俳優兼監督たちが自作自演することの現代的な意義について考察することができた。その過程において、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館2022年度秋季企画展「村上春樹 映画の旅」を企画・構成した。村上春樹は日本の小説家であるが、アメリカ映画、とりわけ1960年代後半以降のアメリカン・ニューシネマから多大な影響を受けてきたことはよく知られている。展示では『一人称単数』(文藝春秋、2020年)という著書もあるこの小説家と映画の関係性について包括的に検証し、開催に合わせて刊行した図録=早稲田大学坪内博士記念演劇博物館監修『村上春樹 映画の旅』(フィルムアート社、2022年)では編著者を務めた。 2022年度の大きな収穫は、研究を進めるなかでインディペンデント映画の重要性をあらためて認識できたことである。本研究は、監督たちが自作自演する映画=「一人称映画」を対象としているが、そこで問題となるのは、撮る/撮られること、及び両者の関係性である。このような撮る/撮られることは、大手映画会社のシステム下で生産されるハリウッド大作ではなく、小規模で作られ、ときに身近なもの同士で映画を撮り合うインディペンデント映画の実践においてこそ全面的に展開されてきた。本研究は監督による自作自演に注目してきたが、インディペンデント映画について考察することによって、より広く撮る/撮られることという実践が持つ意義を明らかにする可能性が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では最終年度であったが、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う社会的な混乱のために研究が遅れた分、期間を延長することとなった。海外での資料調査ではなく映像テクストの分析などを優先することで研究がスムーズに展開するときもあったが、やはり全体としてはペースがやや遅れている。2022年度は映画だけではなくテレビドラマまで研究の対象を広げる予定であったが、文献調査やいくつかの作品に対する分析に着手することができたものの、考察を深めるまでには至らなかった。この3年間で遅れた進行を取り戻すことが次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の範囲を現代のテレビドラマにまで拡張し、映画とテレビにおけるパーソナルな映像実践について広く考察する。また、これまでの研究で得られた知見をまとめつつ、アメリカ映画史における「一人称映画」をより一般的な「自作自演」というタームで整理し直す。さらに、本研究の成果として、『ラストムービー』(デニス・ホッパー監督、1971年)についての学会発表もしくは投稿論文を執筆することを考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)
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[Book] 村上春樹 映画の旅2022
Author(s)
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館監修、川崎佳哉編
Total Pages
208
Publisher
フィルムアート社
ISBN
4845921367
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[Book] 映像が動き出すとき2021
Author(s)
トム・ガニング、長谷正人(川崎佳哉(第4章訳))
Total Pages
368
Publisher
みすず書房
ISBN
9784622090540
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