Project/Area Number |
20K12856
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Musashi University (2023) Tokyo National University of Fine Arts and Music (2020-2022) |
Principal Investigator |
瀧本 みわ 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (60816510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ローマ美術 / モザイク / 工房 / 職人 / 古代ローマ / 美術品流通 / 美術市場 / 古代末期 / 美術史 / 初期キリスト教 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、帝政末期のローマ帝国全域で活発な活動をみせるモザイク工房に着目し、美術品の流通システムと、職人の移動を中心に検証しながら、古代地中海商業圏における工房制作の需要と実態を明らかにするものである。そのために、「物(美術品)」と「人(職人)」の移動の足跡を、図像伝搬や様式分析による従来の美術史学的な考察に加え、美術品の市場や制作形態を示す考古資料、手工業者の組織化を解明する手がかりとなる碑文や古文献史料を駆使し、社会的組織としての職人集団とその紐帯が、古代末期の世俗美術及びキリスト教美術の興隆に果たした役割について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古代末期(4-6世紀)において、ローマ帝国全域で活発な活動をみせるモザイク工房に着目し、美術品の流通システムと、職人の移動を中心に検証しながら、古代地中海商業圏における工房制作の需要と実態を明らかにするものである。そのため、「物(美術品)」と「人(職人)」の移動の足跡を、図像伝搬や諸作例の様式分析による従来の美術史学的な考察に加え、制作の組織化を解明する手がかりとなる碑文や古文献史料、地中海世界の美術品流通の一端を示す出土品といった考古資料を駆使しながら、社会的組織としての職人集団とその紐帯が、古代末期の世俗美術及びキリスト教美術の興隆に果たした役割について考察する。 本年度は、イタリアとフランスの研究所附属図書館と博物館での資料調査、およびチュニジアの遺跡における現地調査を実施し、文献の収集と写真図版による基礎資料のカタログ化作業を行った。また、①移動する職人と工房:制作形態、施主、活動契機、②流通するモザイク作品:美術品の流通システム、③古代末期におけるモザイク職人の職能、の3点について、古代末期の手工業従事者の職能や工房、同業者組合の制度や工芸品の流通に関する近年の研究文献を収集し、本課題を検討した。本年度はとりわけ、③古代末期におけるモザイク職人の職能について重点的な調査を行い、考古資料、碑文史料からの考察のみならず、モチーフや図像、様式研究といった美術史学的立場から、それぞれの地域の造形的特質を探り、親方や職人の分業工程、主要図像の創作や翻案を行う図案家の存在、また工房内部の組織形態に関する考察を深化しようと努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)基礎資料の収集とカタログ作成:前年度に引き続き、古代末期のモザイク職人および工房に関する考古資料、碑文、古文献を収集し、カタログを作成した。 2)現地調査と研究者たちとの意見交換:本年度は、ローマ、チュニスとパリでの調査の際に、考古学、ローマ史の研究者たちとの意見交換を図り、古代末期の手工業者や美術品流通に関する、最新の研究成果や資料の収集を行なった。 3)研究成果の発表:古代末期の大土地所有者の郊外住宅の装飾とその様式、図像伝搬の考察を踏まえ、北アフリカの農村部シディ・グリブで出土した郊外住宅の舗床モザイクに関する口頭発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本課題の計画に沿って考察を進め、①移動する職人と工房:制作形態、施主、活動契機、②流通するモザイク作品:美術品の流通システム、③古代末期におけるモザイク職人の職能、の3点に関するこれまでの調査の成果として、口頭発表や論文発表を準備する。また、次年度は、本年度から取り組んでいるテーマのひとつである、古代末期の手工業者の社会的立場や組合の制度の考察を継続し、歴史的、社会的背景からの視点を導入しながら、引き続き検討していきたい。
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