「身体鍛錬」から読み解くジェイムズ・ジョイス作品の身体表象と社会的背景との関連性
Project/Area Number |
20K12976
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
田中 恵理 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (60829589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ジェイムズ・ジョイス / アイルランド / 身体表象 / 身体鍛錬 / ナショナリズム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ジェイムズ・ジョイスの作品において身体がどのように描かれているのかを「身体鍛錬」との関連から検証し、その身体描写にはいかなる社会的背景が反映されているのかを考察するものである。19世紀末から20世紀初頭、身体鍛錬主義はアイルランドでも流行したが、その背景には、貧困や不衛生による病気の蔓延と健康志向、英国植民地支配と対植民地対策といったアイルランド特有の社会政治的背景がある。身体鍛錬という切り口を軸にジョイスの描く身体を読み取ることにより、アイルランド社会と人々の身体との関連性の新たな構図を考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ジェイムズ・ジョイス作品における身体表象を「身体鍛錬」の観点から検証し、身体と社会的背景とのかかわりがどのように描かれているのかを読み解くことにある。本年度特に注目したのは、女性の身体表象である。前年度までの研究によって明らかになったのは、アイルランドの身体鍛錬、英国の植民地支配とアイルランドのナショナリズムおよびアイルランド体育協会(GAA)との関連性でありそれらは主に男性の身体と関わるものであった。しかし、例えば『ユリシーズ』第18挿話などジョイスの身体表象を論じる際は、女性の身体が問題になる。ジョイスの作品において女性の身体鍛錬の直接的な描写はないが、第一波フェミニズムや女性参政権運動が盛んになった19世紀末から20世紀初頭において、作家が女性の身体をどのように扱っているのかを探ることは重要と考えた。そこで、本年度は女性と身体表象についての学会発表を1件(「『エヴリン』におけるアイルランド性への回帰と船乗りの帰還」日本英文学会第94回全国大会)、シンポジウムを2件(‘A Revaluation of Women's Bodily Descriptions in Ulysses' IASIL Japan The 38th International Conference Ulysses and Beyond、「モリーの独白における身体表象の書き換え」日本英文学会九州支部第75回大会)行った。これら発表を行うなかで、女性の身体鍛錬についてもサイクリングの描写を通して検証できることが分かった。本年度はまた、日本国内でのジョイス研究の推進にも貢献できた。2022年2月から1年間全22回の連続オンラインイベント「22 Ulysses-ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』への招待」の発起人の一人となり上記成果発表や講師の講演を計画・実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗はおおむね順調に進展している。その理由は2つある。一つは、本年度も新型コロナウィルス感染症拡大の影響でアイルランドでの実地調査はできなかったが、オンライン新聞やNational Library of Irelandのデータベースおよび種々の研究書を使用しながら基本的な情報を収集できているからである。二つ目は、前年度の研究の成果として執筆した雑誌論文"The Failure of the Old Tinbox Throw: The Emptiness of the Citizen's Identity as a Nationalist in "Cyclops"(査読有)がJoycean Japan 33号(2022年6月出版)に掲載され、さらに本年度は新しい視点でジョイス作品における身体表象を捉えて学会発表やシンポジウムを積極的に行ったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は本研究課題最終年度であったが、一年延長の手続きを取った。本年度こそアイルランドへ赴き資料収集を行い、「身体鍛錬」に関する最新の記録の収集を行いたい。研究会などにも積極的に参加し知見を広げる予定である。また、令和5年度以降は女性の身体表象と「身体鍛錬」についてもより深い考察を行いたい。得られた成果は、学会発表および論文誌への投稿により世に発信する。なお、本年度の実績(学会発表およびシンポジウムの内容)は、今後論文にして投稿予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)