Danger of Information Manipulation due to Depiction of Action
Project/Area Number |
20K13056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宿利 由希子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (10844649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 情報操作 / 動作の表現 / 日本語社会 / 「悪人」キャラ / 悪印象 / 動作の描写 / メディア・リテラシー / 人物像 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本語社会が言語的側面から情報操作の影響を受けやすい社会であることを示すものである。情報操作に関する研究では、これまで「だれが」「何について」「どのような媒体で」「だれに」といった要因が扱われてきた。これに対し、本研究は「にやにやする」「うろつく」などの「悪人」のふるまいを表すことばを考察対象に、日本語・英語・中国語・ロシア語のことばの使用実態調査、各語母語話者対象の意識調査および情報再現実験を行い、「日本語の使用」という言語的側面が情報操作の要因となりうることを明らかにする。研究成果は、メディア・リテラシー教育への提言として書籍の形で発表することが本研究の最終目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語社会が言語的側面から情報操作の影響を受けやすい社会であることを示すものである。2021年度は、昨年度に引き続き「仮説1:日本語社会は、ことばと特定の印象との結びつきが他言語社会より強い」を検証し、さらに「仮説2:日本語社会は、発信者が悪印象を伴うことばで対象のふるまいを表した場合、受信者が対象に抱く印象が悪化する度合が他言語社会より大きい」の一部を検証した。具体的には、小説、新聞等を用いた表現の使用実態調査と、日本語母語話者を対象とした意識調査を実施した。意識調査は、新型コロナウイルスの影響で国内都市および海外への渡航が困難であったため、アンケートアプリを用いて実施した。 日本語と中国語、英語、ロシア語の小説の比較分析から、日本語はことばと特定の印象との結びつきが他言語より強いことが示された。さらに、動作主の人物像に合わない動作の表現の使用が避けられる「誘導的側面」と、 「泣きじゃくる」のような子供っぽい泣き方であることが十分伝わる表現に「子供のように」という修飾表現がある意味「重複的に」用いられても不自然ではない「重複的側面」という日本語の二つの特徴が見出された。特に後者は、比較対象の他言語では避けられる傾向にある。 日本語の新聞記事の分析から、ストーカー規制法違反に関する報道において「つきまとう」「うろつく」などの表現が、動作主が罪を認めているか否か等に関わらず用いられていること、新聞によっては60代や無職といった動作主の属性によってこれらの表現の使用が多くなっていることがわかった。 日本語母語話者を対象とした意識調査の結果、「つきまとう」「うろつく」などの表現の動作主は類義表現の動作主に比べ印象が悪いことが示された。 これらの知見について、すでに所属先紀要、日本語学会および国語語彙史研究会、社会言語学会発表で報告したほか、今後も所属学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、小説、新聞等を用いた4言語のことばの使用実態調査を継続するとともに、日本語母語話者、ロシア語母語話者、中国語母語話者を対象とした意識調査を行う予定であった。前者は概ね順調に進んだが、後者は新型コロナウイルス感染拡大の影響で所属先での通常業務が増加したこと、調査の実施が困難となったことなどから、日本語母語話者を対象とした調査しかできなかった。また、ロシア語母語話者対象の調査に関しては、2021年度後半にオンラインで調査協力者との打ち合わせを行っていたが、ロシアのウクライナ侵攻開始後連絡が取れなくなっている。 とはいえ、日本語母語話者を対象に行ったオンラインでの調査では十分信頼できるデータが得られた。2022年度は、同様の方法で中国語母語話者、英語母語話者を対象に調査を行う予定である。ロシア語母語話者に関しては、ロシア在住の者を対象とした調査が難しいようなら日本在住者に協力してもらう。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、「仮説1:日本語社会は、ことばと特定の印象との結びつきが他言語社会より強い」「仮説2:日本語社会は、発信者が悪印象を伴うことばで対象のふるまいを表した場合、受信者が対象に抱く印象が悪化する度合が他言語社会より大きい」「仮説3:日本語社会は、発信者が悪印象を伴うことばで対象のふるまいを表した場合、受信者が同様に悪印象を伴うことばで対象を表現する確率が他言語社会より高い」のすべてを検証する。具体的には、①小説、新聞等を用いた4言語のことばの使用実態調査を継続するとともに、②日本語母語話者、ロシア語母語話者、中国語母語話者、英語母語話者を対象とした意識調査を行う予定である。 ①について、各言語の小説における悪印象を伴う登場人物のふるまいの表現の比較調査、各言語の新聞におけるストーカー関連報道で用いられる表現の使用実態調査、およびロシアのウクライナ侵攻関連報道・国会質疑における表現の使用実態調査を行う。 ②について、新型コロナウイルスおよびロシアのウクライナ侵攻の影響等で渡航が困難であると予想される。そのため、渡航が可能か否かに関わらずな、日本国内およびロシア、中国、アメリカの調査はアンケートアプリを用いたオンライン調査を行う予定である。渡航できない場合、特に他言語母語話者への謝金の支払い方法が煩雑になるため、2022年度後半に可能であれば渡航して現地で調査を行いたいと考えている。 これらの調査結果については、日本語学会、社会言語科学会等の所属学会の大会および学会雑誌、また所属先紀要において発表する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)