Project/Area Number |
20K13193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00733007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | イラン / 歴史書 / 写本 / 『オルジェイトゥ史』 / ラシード・アッディーン / イルハーン朝 / セルジューク朝 / スルターン / 地理書 / カーシャーニー / ハムド・アッラー・ムスタウフィー / 写本研究 / ハムドッラー・モストウフィー / ティムール朝 / イスラーム |
Outline of Research at the Start |
「イラン」とは何か。これこそが本研究課題の核心をなす学術的問いである。意外なことに、この言葉が国号として採用されて100年にも満たない。それ以前には、この言葉に込められた意味やそれが指し示す地理的範囲は歴史的に大きな変貌を遂げてきていた。本研究では、歴史書や地理書、そして、地図などを網羅的に収集・分析することで、前イスラーム時代に起源を持つ「イラン」という語が、イスラーム時代に、どのような形で地理的概念として使用されるようになり、それが後に政治的概念として利用されるに至るまで発展を遂げていくのか、について通時的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に取り組み始めて以来、新型コロナウィルス感染拡大のため、大きな制約を受け続けてきたが、2023年度に入ってようやくその制約なく本研究課題に取り組むことができた。2023年8月にはイラン・テヘラン市(テヘラン大学付属中央図書館とマレク図書館)とトルコ・イスタンブル市(スレイマニエ図書館)で、2024年3月にはイギリス・ロンドン市(英国図書館)とケンブリッジ市(ケンブリッジ大学付属図書館)でアラビア語・ペルシア語写本の調査を実施し、データを収集した上で、本研究課題に必要な資料の画像データを持ち帰った。また、同時に、最新の研究書の収集も行い、これらの分析を順次進めているところである。さらに、昨年度、日本語訳註を出版したペルシア語年代記『オルジェイトゥ史』(名古屋大学出版会、2022年)のペルシア語校訂本の作成を進めた。 2023年度の研究成果として特筆すべきは、イラン概念の復活に重要な意味を持ったイルハーン朝時代と歴史家ラシード・アッディーンに対するこれまでの研究成果をまとめ、「モンゴル時代の西アジア:イル・ハン国とラシドゥッディーン」姜尚中総編集『モンゴル帝国のユーラシア統一』(集英社、2023年)という論考を出版できた点である。また、イラン概念は王権に対する考え方とも密接な関係を持っているが、これに関連して、ムスリム君主にとってのスルターン号の在り方を問い直した「スルターンをこえて:セルジューク朝時代の君主号」佐川英治編『君主号と歴史世界』(山川出版社、2023年)という論考を出版した。その他にも、日本語と英語で研究成果を披露する機会を得、研究を着実に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、本来の予定通りに海外の図書館や研究機関における本格的な史料収集を実施することができた。また、学会や研究会での研究報告を行い、本研究課題に関わる研究成果を出版することもできた。また、長年続けてきた共同研究の一つであるペルシア語年代記『オルジェイトゥ史』のペルシア語校訂テクスト出版への準備も大きく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の柱の一つは、海外の図書館や研究機関における史料調査である。本研究課題に取り組み始めて以来、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、予定していた史料調査が十分に行えていない状況にある。そのため、本研究課題を1年間延長し、この期間にヨーロッパとイランにおける史料調査にあて、研究を進めていくこととしたい。
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