Project/Area Number |
20K13231
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 真太郎 岡山大学, 文明動態学研究所, 教授 (80767757)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 古代マヤ / 骨考古学 / 移民動態 / 安定同位体 / 文化的肉体変工 / 考古人骨 / 移民 / バイオアーキオロジー / 古代マヤ文明 |
Outline of Research at the Start |
古代マヤ文明の考古人骨を研究し、移民流動と多様性・多民族性の実態を解明、これが文明の形成と発達に与えた影響を理解する研究である。申請者は先行研究で骨学、自然人類学、法医人類学、生命科学と考古学を融合したバイオアーキオロジー理論に基づき、古代マヤ文明圏の南東周縁域(コパン遺跡)、南西周縁域(グアテマラ南海岸地方)、西域(パレンケ遺跡、チニキハ遺跡)で移民と古代文明に関する研究を進めてきた。本研究ではこれを文明中心部(カンクエン遺跡)、北東周縁域(チャックモール遺跡)へと拡大する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルスによる渡航制限、水際対策の緩和に伴い、2022年9月になってようやく研究対象地の一つであるグアテマラ共和国に渡航することができた。現地ではカンクエン遺跡出土の考古人骨群の現地調査を行った。現地の研究協力者とすり合わせながら、う蝕や歯周病、咬耗、歯石付着など歯牙の状況、四肢骨の筋付着部位の状況、頭蓋変形や歯牙装飾など文化的肉体変工の状況、骨格形に見られる病変の状況など、巨視骨学鑑定所見を取得した。この人骨群の埋葬コンテクストは非常に多岐にわたっており、都市に暮らした一般住民層から、侵略によって虐殺されたとされる王家の一族と見られる個体群を含んでいる。多様な層を網羅することで一つの共同体における移民動態、多民族性を多角的に検証することができ、大変興味深い。これらの個体群から遺存状況に従い、安定同位体分析と後述するゲノム解析が可能な状態であったすべての個体(n=50)を選別して、歯牙資料を採取した。採取した試料は形成時期がおおよそ並行関係にある切歯や犬歯、第1大臼歯などである。すべての歯牙資料についてグアテマラ国内において精巧なレプリカを作成しており、破壊分析にかかる歯牙資料の形態学的な情報はすべて現地に保全してある。帰国後はダイヤモンドホイールを用いて歯牙資料から分析試料を切り出しており、続いて超音波による洗浄、乳鉢で粉末化を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4年計画の研究の3年目にしてようやく現地に渡航することができ、研究のための資料実見、安定同位体分析のための試料採取を行うことができた。引き続き不透明かつ困難な状況下にあった2022年秋の段階で海外渡航を実現し、実際に資料を持ち帰ることができたのは大きな進捗であるが、当初の予定からはやはり遅れていると言わざるを得ない。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2023年度は手元にある資料の分析に集中する。当初計画には含まれていたメキシコの資料の分析は行わない。これによって比較対象資料が少なくなるが、当初計画には含まれていなかった(2019年当時の状況では含むことのできなかった)ゲノム解析が、2023年現在、海外の共同研究者の協力によって可能になっている。これを行うことで一つの資料群の理解を徹底的に深めていく。この変更によって、経費に余剰が出た場合は、無理に研究計画を延長することはなく、返還する。新型コロナウィルスによって海外で実際に遺物を研究する活動が事実上停止していた3年近くの間にメキシコの状況も変化しており、当初計画の盲目的な遂行に固執するよりも、コロナ後の現状に即した計画へ研究推進方策を軽微にシフトすることで、当初の研究目標であるマヤ文明圏における移民動態と多民族性の理解をより深く推し進めることを目指す。
|