帝政期ローマにおける皇帝権力と法の分析-法学者たちの勅法理解を手掛かりに-
Project/Area Number |
20K13304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
塚原 義央 中央学院大学, 法学部, 講師 (60865103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ユスティニアヌス / 法学提要 / テオドシウス法典 / ハドリアヌス / 永久告示録 / ユリアヌス / ローマ法 / 法学者 |
Outline of Research at the Start |
古代ローマ法の発展において法学者は重要な役割を果たしたが、帝政期の法学を考えるにあたって法学者と皇帝との関係は重要である。しかし法学者たちがどの程度、皇帝権力から自由な立場で法学を展開できていたのかについては明らかでなく、これは帝政期における法学者の活動の在り方に関わる問題である。本研究の目的は、主に代表的な帝政期ローマの法学者たちが皇帝による勅法をどのように扱ったのかを分析することで、法学者と皇帝権力との関係を明らかにすることである。そこで本研究では、法学者と皇帝権力との関係を対象とした先行研究を整理し、勅法を扱う法学者たちの法文を詳細に分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はローマ法大全の法学提要を中心とした勅法の分析を進め、勅法集やテオドシウス法典に採録される法文の分析も同時に進めることができた。法学提要の法文は昨年度も分析を進めてきたが、二世紀のハドリアヌス帝の決定を伝える一方で六世紀のユスティニアヌス帝の政治的意図を含むものとしても理解できることが法制史学会における発表へのコメントでわかった。
また法学提要の分析を進める中で、勅法集やテオドシウス法典も分析する必要が出てきた。勅法集は法学提要とともにローマ法大全を構成し、学説集とともに個別具体的な事例を集積したものである。テオドシウス法典は勅法集よりも前に編纂されたもので、勅法集のモデルになったものと推測される。皇帝たちの勅法が数多く採録されており、主に埋蔵物に関する法文を追ったが、それぞれの時代の皇帝たちの決定の違いが出ており、そのような違いが生じる時代背景を分析する一方で、先帝たちの決定を参照している傾向も見出せた。
埋蔵物の帰属をめぐっては他人の領地で発見した場合、発見者に属するか包蔵物の所有者に帰属させるかという問題があるが、ユスティニアヌスが伝える発見者と土地の所有者で折半するという解決は、ローマ法が最盛期を迎えた古典後期にその萌芽がみえるものの、明示的に表れるのは古典期よりも後の時代であることが明らかになった。これらを統合すると法学者と皇帝という関係性で見た場合、法学者が法発展のイニチアチブをとりつつ皇帝をリードするという構図が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
古典期法学者たちの学説や古典期後からユスティニアヌスに至るまでの諸皇帝の勅令についての分析を進めることができた。しかしコロナウィルスの影響が依然として続き、特に国外の学会で研究成果を発表することが難しい状況にあった。このような状況下で国外の研究者から十分な意見交換の機会を得ることが出来ず、学会発表を通して得る予定であった研究成果については十分な成果を得ることが出来なかった。このような事情を勘案して、本年度の進捗状況を(3)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
法学提要の法文はユスティニアヌス帝の政治的意図を含むものとしても理解できることを踏まえ、今後の研究では六世紀のユスティニアヌス帝の前帝たちをどう理解していたかも含め、皇帝たちの法創造への関与という問題に取り組みたい。また特に埋蔵物の帰属をめぐっては法学者がイニシアチブを取ったことがわかってきたが、古典期の法学者たちがどのように考え、それを皇帝たちがどのように考慮したかといった視点からも皇帝と法学者の関係性を考えていきたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)