Project/Area Number |
20K13321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Fukuoka University (2021-2023) Kagoshima University (2020) |
Principal Investigator |
城野 一憲 福岡大学, 法学部, 准教授 (10707491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 憲法学 / 教育法学 / アメリカ憲法 / 教育についての権利 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、アメリカにおける“Right to Education”の概念の比較法研究を通じて、権利としての教育、「教育についての権利」の規範構造を明らかにしようとするものである。現代日本においても、経済の停滞や財政の硬直化、移民政策の転換などによって、教育格差や学校教育への負荷の問題が認識されるようになってきている。教育格差を是正するために、学校財政訴訟や連邦立法を通じて公教育の平等と適切性(アデクアシー)の追求を続けてきたアメリカにおける“Right to Education”の原理や内容、救済を分析することを通じて、教育政策の立憲的な統制のための理論的な基礎付けを探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、これまでの研究成果を公表するとともに、前年度までに得られた知見に基づいて、「教育についての権利」の機能に関する分析に取り組んだ。 コロナ禍の学校閉鎖(School Closure)は、子どものもつ「教育についての権利」に多大な影響を及ぼしている。アメリカ合衆国と日本における学校閉鎖や統廃合について、関係的で構造的な権利論という視点から分析し、コロナ禍の学校閉鎖は、学習損失に対する補償を求める「請求権(Claim-right)」と、学習環境の一方的な変更を防ぎ、学習の中断を最小化するための「免除権(Immunity)」と関わりうることを明らかにした。この研究成果は、「学校閉鎖と「教育についての権利」(『自由と平和の構想力』所収)として公表した。 また、大学入試におけるアファーマティブ・アクションを違憲としたStudents for Fair Admissions v. Harvard判決(143 S.Ct. 2141 (2023))の分析にも取り組んだ。法廷意見と少数意見の対立軸である、「学問の自由」と関わる組織体としての大学に対する敬譲審査の要否という問題の背後には、不平等の是正や社会の改善の「前衛」としての学校観と、学校は社会の状況の反映に過ぎないと考える立場との相克があることを指摘した。この研究成果の概要は、「平等原則と大学入試における人種の考慮」(日本教育法学会ニュース)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、引き続き文献と判例の収集と分析に取り組むとともに、コロナ禍の学校閉鎖や、大学入試におけるアファーマティブ・アクションの問題という、「教育についての権利」の保障とも関わる現代の教育法問題についての研究成果をまとめて公表することができた。 しかしながら、権利の本性あるいは機能という観点からの「教育についての権利」の分析には十分に取り組むことができておらず、また、研究全体の総括にも至っていない。海外の学会におけるものを含む学術交流にも取り組むことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、「教育についての権利」の規範構造に関する研究の総括を目指す。これまでに得られた知見をまとめ、所属する研究機関の紀要や学会誌への論文投稿を積極的に行う。アメリカ教育法学会(Education Law Association)の年次総会への参加を通じて、学術交流にも取り組む。
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