国際法学説史における自然法論の再検討――近代国際法完成期及び戦間期を中心に
Project/Area Number |
20K13332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小栗 寛史 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80837419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 国際法史 / 自然法 / 自然国際法 / カトリック法学 / 戦間期国際秩序 / 国家意思 / 合意 |
Outline of Research at the Start |
国際法学においては、いわゆる「長い19世紀」を通して法実証主義が台頭し、それ以前に優勢であった自然国際法論に代替したと評価されてきた。しかしながら、同時期に上梓された文献を参照する限り、実際には近代国際法完成期及び戦間期を通して自然国際法論を採用する論者は少なくなかったことが判明する。このような研究状況に鑑み、本研究は、これまで十分に検討されてこなかった近代国際法完成期及びその後の戦間期における自然国際法論の内実を解明し、それらが国際法史においてどのような意味をもった営みであったのかという点を考察するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究対象となる時期を【Ⅰ】近代国際法完成期(1776~1914年)、【Ⅱ】戦間期(1915~1945年)に分類し、それぞれの時期における自然国際法論の代表的著作の検討を通して自然国際法論の展開史を解明し、【Ⅲ】両者の関係を整理した上で、同時代における一般法史学における「自然法の再生」との比較検討を行うことで、自然法論に関する国際法史研究と一般法史学研究との接合を目指すものである。 研究期間の3年目に当たる本年度は、昨年度に引き続き、第一次世界大戦後の新たな国際法思想の潮流の一つとしての自然国際法論の「再生」に着目し、この担い手となった諸著作の検討・分析を行った。より具体的に言えば、第一次世界大戦後のドイツにおいて設立され、カトリック法学者によって構成された「キリスト教国際法のための委員会」の議論の成果物として刊行された叢書について、昨年度に渉猟したものを分析することで、戦間期という時代にどのような自然国際法論が提唱されたのかという点を解明した。この叢書の存在は国内外の先行研究において看過されてきたものであり、これらを発見し検討の対象とすることじたいに研究上の意義があることは言うまでもない。 さらに、これらの分析を下敷きにして、戦間期の日本の国際法学において展開された自然法論を詳細に検討した。検討対象となったのは、田中耕太郎と大澤章の著作・論稿である。カトリック法学者であった2人は、同時代の(とりわけ)欧州の自然法論をそれぞれ分析し、日本の国際法学界に紹介したという点において、日本の国際法学における一定の貢献をなした。これらの貢献の具体的な学術的意義については、今年度の研究対象である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
検討対象たる諸著作の入手が予想していたよりも容易であり、またその分析も予定よりも早く終えることができたため。そのため、次年度の計画を一部前倒しし、英文での研究成果公表の準備にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、昨年度の研究成果を踏まえて、日本の国際法学界における自然国際法論の影響と意義を明らかにする。また、昨年度・本年度の研究成果を統合することで、戦間期に展開された自然国際法論が、先行研究の評価として示されてきたように近代国際法完成期における自然国際法論の「再生」として評価可能であるのかという点を明らかにし、最終成果物に纏める。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)