Project/Area Number |
20K13362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Sophia University (2022-2023) Tokyo Metropolitan University (2020-2021) |
Principal Investigator |
善塔 章夫 上智大学, 法学部, 准教授 (10779482)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 不動産 / 所有権 / 取得時効 / 敵対的占有 / 民法 / 不動産所有権 / adverse possession / アメリカ法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本における取得時効法と類似するアメリカにおける敵対的占有制度について、その内容、政策目的及び制度設計をめぐる議論を取り上げる。アメリカにおけるdescriptiveな経済分析の成果は、その果たす機能を多面的に解析している。本研究では、このようなアプローチを含む英米法圏の制度の研究により、先行研究の不足を補いつつ、取得時効制度の果たす機能を考察し、従前の議論を批判的に再検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究成果として、2022年度末までに「不動産所有権の取得時効――アメリカにおける敵対的占有制度の分析を素材として」と題する論稿の一部((1)から(5)まで)の公表を終えていた。2023年度は、その続編として同タイトルの連載の(六)(七)及び(八)を、それぞれ法学協会雑誌140巻8号、140巻10号および141巻3号に掲載し、公表することができた。 (六)では、敵対的占有者の主観的態様、すなわち彼が善意であるか悪意であるかによって敵対的占有による権原の取得の可否等に影響が及ぶか、どのような影響が及ぶと考えられるかという観点から同制度をめぐる議論を整理するなどした。そこにはたとえば敵対的占有者が権原を取得するにあたっては不動産の価値を補償することを要するという考え方が含まれるところ、これは日本法の理解にとっても重要となりうるように思われる。 (七)および(八)では、日本法における不動産所有権の取得時効という制度がどのような機能を有するといえるかを検討した。本研究では、機能の検討に先立ち取得時効制度の法的効果を確認し、その法的効果との関係で、同制度の有する機能を整序・分析した。たとえば、日本法においては不動産所有権の取得時効の要件が充たされると時効取得者はその不動産の客観的価値相当額を元の所有者に対して補償することを要せずしてその所有権を取得することとなるところ、このことは、訴訟コストを抑制するはたらきを持つと考えられる。このほか、継続的な占有者に所有権を付与することによりこれから不動産を譲り受けようとする者にとっての取引コストの軽減が図られること、所有者から所有権を剥奪することにより元の所有者による返還請求が一律に排斥されて訴訟コストが引き下げられること、また、不動産に対する資源投下が行われないという事態の解決が図られうることなどを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に比べ、研究成果の公表は遅れている状況にある。本研究の内容については、これまでに複数の研究会で研究内容を報告をする機会に恵まれた。そうであるところ、それらの研究会において他の研究者から寄せられたコメントを踏まえると、公表に先立って相当の内容を加筆し、また章立ての構成を大きく作り直すことが望ましいように思われた。そしてその作業にあたっては、計画当初の段階での想定を超えて、時間を費やすことが必要であったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、現在法学協会雑誌において連載中の論稿、「不動産所有権の取得時効――アメリカにおける敵対的占有制度の分析を素材として」を完結させることがまず第1の目標である。未公表の部分は、残り2回に分けて連載を進めることを計画している。論文の内容については、その骨子とある程度の中身はすでに出来上がっている。これを丁寧に組み立て、練り上げて原稿を仕上げ、公表を目指す。
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