Project/Area Number |
20K13376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
萩原 基裕 大東文化大学, 法学部, 教授 (30719901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 追完請求権 / 契約不適合 / 代替物の引渡し / ドイツ民法 / 追完請求権の射程 / 売買契約 / 売主の求償権 / 不適合物の取付け / 契約不適合責任 / 特定物 / 当事者の利益調整 / 法的救済 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、民法562条に規定されている追完請求権という買主の法的救済について、その機能から同請求権の本質を探る試みである。追完請求権は改正の経緯から、改正前民法の瑕疵担保責任を改めたものであるが、追完請求権(契約不適合責任)と瑕疵担保責任とでは、特にその法律効果に大きな違いがみられる。追完という契約を完全なものにして存続させるという機能に着目し、そこから本質を検討することを試みることが本研究の目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は研究課題に関連してドイツにおける代替物の引渡請求権の射程に関する判例・学説法理の分析を行い、それに基づいて2回の研究報告を実施することができた(第1回:2023年11月30日明治民法研究会、第2回:2024年1月11日ドイツ民法研究会)。ドイツではいわゆるフォルクスワーゲン排ガス不正問題に関連して、不正ソフトウェアのインストールされている車両の買主が、売主に対して不正ソフトウェアのない代替自動車を引き渡すように求める事件が生じた。しかし購入時期と不正の発覚時期の時間的間隔のため、買主が購入した(瑕疵のある)モデルの自動車がすでに流通しておらず、その後継モデルのみが流通していたところ、買主が後継モデルを代替物として引き渡すように求めるケースがあった。そのためドイツの判例と学説では、ある物の代替物として、その物の後継モデルが含まれるかどうかが理論的問題として議論されるようになった。ドイツにおけるこの問題に関連する重要判決がBGH2019年1月8日判決―VIII ZR 225/17―とBGH2021年7月21日判決―VIII ZR 254/20―である。これら2つの判決からは、購入した自動車のモデルがすでに流通していないとしても後継モデルに対する代替物の引渡請求は排除されないが、売買契約の両当事者の利益などを考慮して、契約締結から2年以内に同請求権が行使される場合にのみ、後継モデルの代替物としての引渡しを認めるべきとした。こうした判例法理に対し、ドイツの学説では賛成の立場と反対の立場がみられる。 このドイツにおける問題は日本民法562条の契約不適合責任(追完請求権)でも問題となりうるところ、ドイツの判例および学説の議論状況は日本法における議論を考えるに際しても非常に示唆となりうる。本研究の成果については可能であれば2024年度に公表したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題がスタートしてのちコロナ禍に見舞われた。そのため初年度から研究計画の遅れと修正を余儀なくされてしまった。その後、研究期間の延長もあって遅れを取り戻しつつあるが、全体としてみるとやや遅れてしまっていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も継続して追完請求権にかかわる研究をする予定である。2023年度に実施したドイツ民法における代替物の引渡請求権の射程に関する問題につき、文献や判例の調査がやや不十分な点があったため、研究会報告でいただいた指摘も踏まえてさらに調査検討し、できれば成果を公表したい。
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