不法行為法における「違法性」要件の意義再考:AI時代の到来を契機として
Project/Area Number |
20K13379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
角本 和理 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (50779577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 不法行為法 / 過失 / 違法性 / 普遍主義 / 多元主義 / 情報法 / 不法行為責任 / 違法性要件 / 監督義務者責任 / 中間責任 / 総合救済システム論 / 過失要件 / 過失責任 / 無過失責任 / 利益衡量 / リベラル・コミュニタリアニズム / 多文化主義 / 人工知能 / 民法 |
Outline of Research at the Start |
私法上の不法行為責任制度は、社会の基幹技術となりつつある人工知能(AI)が係って発生する損害に如何に対応することができるか。この課題については、現行制度の限界を指摘した上で、無過失責任・無過失補償制度の活用が検討されているところである。これに対し本研究は、不法行為訴訟における違法性要件の機能を評価する立場から、AIの研究開発をリードする米中両国に関する比較法研究をもとに、AIが係る不法行為類型において考慮すべき帰責判断の基準・要素を析出し、これまでの批判に応答するAI時代における違法性論を構想する。これらの作業を通じて、AI時代における不法行為責任制度、ひいては司法・訴訟制度の役割を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
私法上の不法行為責任制度は、AIが係る権益侵害にいかに対応することができるか。この課題につき、本研究では、不法行為訴訟における違法性要件の機能を肯定的に評価する立場から、特に2023年度には次の研究を行った。 第一に、社会規範を「情報」という視座から捉え直す情報哲学の議論を分析した。特に、あらゆる情報的存在によって構成される「情報圏」という領域を析出し、そこにおける総合的な倫理としての「情報の尊厳」を強調する見解を中心に分析した。しかしこの見解には過度の普遍主義的傾向が潜んでいるため、解消不能な異質性をもつ文明・文化(西洋と東洋等)をより緩やかに結びつけるために、倫理多元主義が相対化を試みている。ただ後者についても、これを無批判に受容すると結局のところ前近代的な抑圧社会の復興・強化に繋がりかねない。情報社会における規範につき、普遍主義と多元主義のバランスが求められている。 第二に、以上と並行的に、情報サービスをめぐる政策の社会的実態を分析した。ここでは、一方では、プラットフォーム事業のグローバルな展開により全世界的な対応が求められている。他方では、プラットフォームによる顧客の囲い込み等に起因するコミュニティの分断傾向への対応が求められている。プラットフォームをめぐる不法行為責任の帰責性判断についても、普遍性と個別性、双方への応答を実現する制度的工夫が施されないかぎり、事態適合的な運用が困難となるように思われる。 以上のように、理論的にも政策的にも、普遍性と個別性への配慮のバランスが求められている。そこで、AI時代における不法行為責任の帰責性判断について、過失は普遍性を志向するもの、違法性は個別性を志向するもの、という従来からみられた特性を再評価して改めてすみわけることで、事態適合性が増すのみならず、帰責性判断の透明性や批判可能性を向上させることにもつながると考えられる。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)
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[Book] 生と死の民法学2022
Author(s)
深谷 格、森山 浩江、金子 敬明
Total Pages
610
Publisher
成文堂
ISBN
9784792327873
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