紛争後社会における規範伝播の政治性に関する実証研究
Project/Area Number |
20K13439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Waseda University (2020, 2022-2023) Toyo University (2021) |
Principal Investigator |
小山 淑子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (50800827)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 治安部門改革 / 規範伝播 / 準軍事組織 / ジョージア / 平和構築 / 国際協力 / SDGs / コンゴ民主共和国 / 国連 / 規範 / 紛争解決 / コンストラクティビズム |
Outline of Research at the Start |
国際機関によるリベラルな平和構築支援は、何故、成功もしくは失敗するのか。本研究は、紛争後社会における治安部門改革を取り上げ、この問いを検討する。具体的には、治安部門改革を規範伝播の取組として捉え規範の内面化プロセスを分析することで、紛争後社会における規範伝播が持つ政治性を明らかにし、アクター間における正当性及び権力の再構成のダイナミクスを解明する。ジョージア及びコンゴ民主共和国を事例とし、主に欧州連合(EU)による治安部門改革支援の政策過程分析を通じ、国際規範が多元化・複合化する過程、そして現地にて変容した規範が国際規範として収斂され自由主義的平和構築の取り組みが妥協されていく過程を検証する
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Outline of Annual Research Achievements |
4年目にあたる令和5年度では引き続き、治安部門の中でも特に準軍事組織に焦点を当てた分析を行った。過年度より参画している中東欧をベースとする若手・中堅研究者との国際共同プロジェクトの活動の一環として、研究結果の一部を英文書籍としてPeter Langより2024年度中に出版予定である(The Longue Duree of Paramilitarism: Balkan and Global Perspectives)。同じく過年度より継続しているジョージアの事例研究については、その結果の一部を研究ペーパーに取りまとめ、国際学会(Conflict Research Society 年次大会、2023年9月、ロンドン)にて発表した。このペーパーでは、1990年代のジョージアにおける準軍事組織の動員解除の事例を紹介し、準軍事組織の動員解除プロセスにおける政治エリート間の政治力学を分析した。加えてペーパーでは、国内政治力学による動員解除では体制の安全保障(レジーム・セキュリティ)に主眼が置かれたため、コミュニティ・レベルに安全保障上の懸念を残した点についても指摘した。この学会発表を通じ、紛争研究においては準軍事組織の概念整理が途上で体系的な分析も不十分であることが確認された。こうしたことから、前述した近刊の英文書籍の学術的意義についても再認識することとなった。更に、令和5年度には、海外研究者との連携・協働のためのネットワーク開拓を開始した。これまでの先行研究の検証および海外研究者との議論を通じ、治安部門の中でも準軍事組織に関する多角的な検証が求められることが明らかとなった。よって、準軍事組織に着目した地域横断的な分析を進める方向で、新たな国際共同プロジェクトの立ち上げを準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ研究は順調に推移している。令和元年度はコンゴ民主共和国の事例に関する研究成果について、国際安全保障学会2020年度年次大会(2020年10月30日、オンライン開催)にて発表した。続く令和2年度には、研究成果の発信を国内外にて実施した。具体的には、「武器と市民社会」研究会セミナー(2021年12月1日、オンライン開催)および広島市立大学シンポジウム 「Policing in Transitional and Post-conflict Countries」(2022年3月15日、オンライン開催)にて、ジョージアの事例に関する研究成果を発表した。ジョージアの事例研究に関してはその一部を、Routledgeより英文編著書の一章として出版した。ジョージアの事例研究については、その結果の一部を研究ペーパー(”Demobilising paramilitaries in the pursuit of power consolidation: The Republic of Georgia, 1992-2003”)に取りまとめ、国際学会(Conflict Research Society 年次大会、2023年9月、ロンドン)にて発表した。また、治安部門の中でも研究実績が急速に蓄積されつつある準軍事組織について国際共同プロジェクトに参画中である。中東欧をベースとする若手・中堅研究者と協働中の英文書籍出版プロジェクトでは、研究成果をPeter Langより来年度中を目途に出版する予定である。並行して、新たな国際共同プロジェクトを準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、治安部門の中でも特に準軍事組織に焦点を当てた研究を進めた。理由として、当研究を進める中で治安部門アクターの中でも準軍事組織に関する規範の伝播過程が国内エリート政治に強く影響を受けていることが明らかになったことが挙げられる。準軍事組織に焦点をあてた研究は、中近東および東欧の近現代史の専門家によって優れた研究業績が蓄積されつつある。令和4年度はこの研究者ネットワークを開拓し、続く令和5年度において引き続き関係構築に努めた。現在、このネットワークを通じて準軍事組織に関する英文書籍出版プロジェクトに参画しており、この研究成果を英語編著書籍としてPeter Langより2024年内に出版予定である。今後、国際共同プロジェクトを立ち上げるべく協議中である。準軍事組織に関する研究が近現代史研究者によるものを中心に積みあがっている一方で、治安部門改革を対象とした研究においては準軍事組織に焦点をあてたものはいまだ乏しい。本研究は治安部門研究において準軍事組織に着目した先駆的なものであり、本研究が持つ分野横断的な学術的意義は大きい。したがって、令和5年度以降も引き続き研究成果を国内外の学会報告および論文出版などで積極的に公表し、治安部門改革、わけても準軍事組織に関する研究を進め、研究上での課題点を精査しつつ分野横断的な学術的貢献を目指す。国際学会ではConflict Research Society(2023年9月、ロンドン)にて研究ペーパーの発表を行った。この発表の内容は、当研究の最終的成果物としての出版を目指している英文単著書の一部内容に基づいている。規範伝播における国内外のアクターの関係性と相互作用についての検証を引き続き行い理論的検討を精緻化するとともに、この国際学会発表へのフィードバックを反映させ、最終成果物である英文単著書の執筆、出版へとつなげたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)