消費者の誘惑と自制心を考慮した年金制度に関する研究
Project/Area Number |
20K13521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
熊代 和樹 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (30823124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 自制心 / 年金 / 積立型年金 / 誘惑と自制心 / 世代重複モデル |
Outline of Research at the Start |
消費者の感じる誘惑とそれに対する自制心を明示的に扱い,自制することの心理的コストまで含めた社会厚生を最大にする年金制度を構築することを目的とする.特に,「自制心の強さが人によって異なること」,「年金を担保とした借り入れを許容すること」が先行研究と比較した本研究の大きな違いである.この枠組みの下で本研究では世代重複モデルを用いて,得られた年金制度が長期的に社会厚生や貯蓄行動等にどのように影響するかを明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一つのテーマとしている,借入制約の影響について扱った論文を出版した(商大論叢第59巻第1号,2023年7月)。誘惑と自制心の葛藤により発生する心理的コストを軽減する手段として,コミットメントデバイスの活用が挙げられる。特に,異時点間消費の文脈では定期預金や年金のような,所得の一部から事前に支払いを行う金融資産がコミットメントデバイスにあたる。当該論文では,一度支払った年金の積立を担保とした借入を認めることがどのような影響をもたらすかを論じた。年金を担保として借入を認めることはコミットメントが緩められることを意味する。よって消費を実行するタイミングで再び誘惑に直面することになるので,このような制度は厚生に悪影響をもたらす。日本でもかつて,突発的な支出に対応することを目的として,年金を担保とする借入制度が存在したが,この制度は廃止されている。 併せて,消費者と政府の間で誘惑強度に関する情報の非対称性がある下での年金設計についての論文も,理論分野,行動経済学分野を中心として国際学術誌に継続して投稿を行っている。 加えて,関連するトピックとして選好の時間非整合性がある下での意思決定を公共財供給やタロック競争の文脈へ応用する研究についても着手している。前者については効率的な公共財供給量との関連において興味深い結果が得られた。後者についてもベンチマークケースの分析が完了したため,引き続きモデルの拡張を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り,研究成果を論文という形で公開できており,関連する研究にも着手できているため,概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究成果をまとめた論文を投稿し,査読結果を受けて改訂を行い,国際学術誌への掲載を目指す。 関連研究についても分析を進め,年度内に学会報告やワーキングペーパーの形で公表することを目指す。
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Report
(4 results)
Research Products
(1 results)