Project/Area Number |
20K13573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Kyoto Tachibana University (2022-2023) Nagoya University of Foreign Studies (2020-2021) |
Principal Investigator |
下門 直人 京都橘大学, 経営学部, 専任講師 (00844094)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | インド / 酪農業 / 協同組合 / 多国籍企業 / サプライチェーン / フードシステム / 流通 / ソーシャル・ビジネス / BOPビジネス / 流通論 |
Outline of Research at the Start |
インドをはじめ途上国の多くは急速な経済成長を経験しつつも、貧困問題や経済格差などの深刻な社会的課題を解決できずにいる。そこで本研究では第一に、途上国、なかでも深刻な貧困を抱える農村の発展に貢献してきた協同組合を主な対象とし、協同組合はいかにして経営的課題を克服しながら社会的課題の解決主体となりえるのかを明らかにする。そして第二に、経済的価値と社会的価値の両立、すなわち共通価値の創造の担い手として期待される多国籍企業との比較を通じて、協同組合と多国籍企業という経営主体の相違が貧困削減や社会的課題の解決においていかなる違いを生み出すのかということを、貧困層への利益還元の仕組みから明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農村の貧困問題等の社会的課題を抱えるインドを対象に、自由化後において組織形態の異なる協同組合と民間企業がいかにして事業成長及び、事業を通じた社会的課題の解決の両立を図ろうとしているのかを両者の比較を通して明らかにすることを目的として進めきた。具体的には、地域ごとに事業規模や経営実態が大きく異なる酪農業協同組合間の比較、及び酪農業協同組合と民間乳業メーカー間の比較を通じて、その経営効率や成果に違いが生まれる要因及び、それが農村事業に与える影響についての分析を進めた。 令和5年度の主な研究成果は、以下に示す図書に所収された論文2本の刊行と学会報告を行ったことである。成果①では、自由化後において拡大・成長を続けるグジャラート州酪連(AMUL)と停滞しているビハール州酪連(COMFED)の比較分析を行い、両者の最終製品の販売戦略(マーケティングや流通チャネル構築)の違いが農村事業(生産者の組織率や生乳調達量等)に影響を与えている可能性を示した。また、成果②では、AMUL等の成長を続ける酪農業協同組合や民間乳業メーカーの重要な販売チャネルとして着目されているインドの近代的小売、とりわけ、近年都市部を中心に成長を続けるコンビニエンスストアについてローカルチェーンの展開とセブン-イレブンの進出状況について考察している。
【主な研究成果】 ①佐藤隆広(編)(2023)『経済大国インドの機会と挑戦』、白桃書房、(執筆担当)下門直人「インドにおける酪農業協同組合の歴史的意義と自由化後の課題」、pp.71-99。 ②加賀美太記、佐久間英俊、森脇丈子(編)(2024)『コンビニエンスストアと日本の流通:流通経済論からの分析』文理閣、(執筆担当)下門直人「コンビニエンスストアの海外進出:セブン-イレブンのインド進出の事例」、pp.181-199。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年までは新型コロナウィルスの影響により計画していた現地調査を実現することができなかったが、その期間については、これまでに収集してきた調査記録やデータベース、資料等を用いながら論文の執筆や学会報告等をおこなってきた(研究成果参照)。 2023年3月及び8月には、新たにパンジャーブ州酪連(Verka)の乳業工場ならびに農村酪農協への現地調査を実現することができたので、これまでの調査対象であるAMULやCOMFEDとの比較分析を進めている。また、Verkaは新型コロナウィルス禍においても乳製品工場新設のための大規模な設備投資をおこなっており、そうした状況を踏まえ、コロナ前後の酪農業協同組合の事業や経営状況についても考察を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、インドの酪農業協同組合間の比較を通じて、地域ごとに事業規模や経営状況に大きな格差が生じている理由について分析を進める。具体的には、コロナ禍以前に調査したグジャラート州酪連やビハール州酪連への現地調査を改めて実施し、コロナ以後の酪農業協同組合の農村での事業や経営状況についてのデータや資料の収集を行う。その上で、2023年に現地調査を実施したパンジャーブ州酪連との比較分析を進めていく。さらに、可能であればパンジャーブ州に乳業工場が立地する多国籍企業ネスレへの調査を実施し、酪農業協同組合と多国籍企業との比較についても進めていきたい。
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