里親委託児童の独立自活・自立問題に関する研究―里親制度と養育内容の変遷に着眼して
Project/Area Number |
20K13761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 友佳子 芝浦工業大学, システム理工学部, 助教 (70707174)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 保護受託者制度 / 職親 / 自立援助ホーム / リフレクションチャート / アフターケア / 特殊里親部落 / 治療的里親家庭 / 社会的養護 / 里親制度 / 里親家庭 / 自立支援 / 歴史研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「児童福祉法」が制定された連合国軍占領期から高度経済成長期までと、少子化や児童虐待などの問題が出現し抜本的な「児童福祉法」改正が行われはじめる1990年代から現在までを対象時期とし、里子の独立自活・自立をめぐる問題の変遷を解明する。里子の独立自活の後押しや自立支援が里親の自明な役割となった経緯を探ることで、里親家庭に付されてきた役割を明らかにし、昨今の社会的養護の転換において見過ごされがちな「里親養育とは何か」を根本的に問いたい。目的達成のための課題として〔課題1〕委託児童の独立自活・自立に関する制度の成立展開過程の解明と、〔課題2〕里親の養育内容(専門知と実践)の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、主に3点において研究を進めた。まずは、令和3年度に発表した保護受託者制度(職親制度)に関する論文を投稿し、日本社会福祉学会『社会福祉学』とISCHEの学会誌である 『Paedagogica Historica』に掲載されるに至った。日本社会福祉学会の研究については保護受託者の個別の実践に焦点を当てた内容で、Paedagogica Hisoricaでは、制度の紹介と歴史的変遷を主として記した。日本の児童福祉の歴史に関する英語文献は少なく、国際的な寄与ができたと考えている。 2つ目に、「課題B-2里親や里親会による自立支援の意識化と里親養育の変化」に関して、本年度も引き続き、里親関係者と参与観察先の自立援助ホームにおいて「子ども支援者のためのリフレクションチャート」の送付を行い、リフレクションチャートをプレ実施していただくとともに、リフレクションチャートの内容の改善を行った。サンプル数が少なく効果を検証するところまでは至らなかったが、自立支援の省察に役立つというご意見を頂くことができた。今後、里親会のサロンなどで複数の方に集まっていただき、本格的に実施したいと考えている。 3つ目として、1960年代からアフターケアに取り組んできた自立援助ホームにおいて、史料収集を進めた。この中で、里親や保護受託者との関係性に関する内容も含まれる資料を閲覧することができた。そして、韓国社会福祉歴史学会にて、日本の自立援助ホームの歴史的役割と今日的課題について報告を行った。韓国の研究者と話す中で、日本におけるアフターケア実践の先駆性と、民間有志の下からの働きかけが重要であったことが改めて確認できた。今後は、自立援助ホームなどの施設と、里親との連携にも目を向けて研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保護受託者制度(職親制度)の研究に関して、国際・国内学会への論文投稿と掲載を達成することができた。また、国際学会にて自立援助ホームのアフターケア実践に関する発表を行うことができ、資料収集も順調に進められた。一方で、論文投稿と研究発表に注力してしまい、「児童福祉法」改正と里親制度の抜本的見直し期など、研究計画に記載された内容を計画通りに進めることができなかった。計画通りに進められなかった内容については、軌道修正し、改めて今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2つの点で研究をさらに進めていく。 まずは、自立援助ホームのアフターケア実践の歴史的変遷に関する研究を進めていく。自立援助ホームを調べていく中で、里親からの委託が少なくないことが分かってきた。また、自立援助ホームを母体としてファミリーホームが運営されている場合もあり、2つは補完しあう存在であると思う。里親と自立援助ホームの関係性を明らかにする研究を進め、アフターケアの多様性を示したい。 次に、現在の里親や自立援助ホームの職員の養育の資質向上に関する研究を進めたい。リフレクションシートを用いて、里親や職員の強みを把握し、アフターケア実践に活用できるような方法を確立したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)