Project/Area Number |
20K13792
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
島崎 剛 久留米大学, 文学部, 講師 (40849270)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 社会福祉法人 / 地域における公益的取組み / 経営管理 / 社会福祉施設 / 特別養護老人ホーム |
Outline of Research at the Start |
本研究で対象とする社会福祉法人の「地域における公益的取組み(以下、公益的取組み)」は、施行後3年が経過しているが、経営や運営上の課題を抱え、取組みの実施が困難な法人もあり、実態の継続的な把握や取り組みに影響を及ぼす要因の検証は課題である。 そこで本研究では、社会福祉法人の公益的取組みに影響を及ぼす経営管理にかかわる要因を明らかにすることを目的とし、改正社会福祉法が施行後3年経過した時点での公益的取組みの実態を把握して申請者が2017年に実施した全国調査との比較検討を行う。さらに、先進事例の調査によって公益的取組みの促進に関連する要因の実証を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会福祉法人の「地域における公益的取組み(以下、公益的取組み)に影響を及ぼす経営管理の要因を明らかにすることである。そこで2023年度は、社会福祉法人における公益的取組みについて、制度施行1年経過時に筆者が実施した2018年時点の調査とさらに5年経過時の2023年の実施状況の変化に着目した比較検討により、展開上の課題を明らかにすることを目的として、質問紙調査を実施した。 調査方法として、全国の社会福祉施設を経営する社会福祉法人のうち、特別養護老人ホーム(10,543箇所)より、都道府県別に乱数表をもちいて2,500箇所を層化無作為抽出し、無記名自記式質問紙を用いた郵送調査を実施した。調査項目は、基本属性として回答者の属性(5項目)及び施設・法人の属性(7項目)、公益的取組みの実施状況(3項目),公益的取組みの管理体制(5項目)にくわえ、公益的取組みを実施する際の,経営管理の困難さについての自由記述であった。分析対象は、2023年度の調査で回答を得た336件にくわえ、2018年に実施した前回調査で回答を得た357件をあわせた693件を分析対象とした。 また、調査項目のうち、公益的取組みの実施状況(5項目)および管理体制(7項目)を分析対象とした。比較検討した結果、実施法人は増加したものの、実施内容に大きな変化は見られず、解決すべき課題に対して継続性を持った活動展開が必要とされていることが示唆された。また、管理体制として、職員間の共有は広がっているが、取組みを担う人員確保の課題が残されていることが示唆された。 結論として、公益的取組みの継続性を担保するシステム開発と、法人施設の持つ資源と地域の福祉課題について公益的取組みを媒介してつなげ、課題の解決を図るシステム開発が、公益的取組みの展開における新たな経営管理の課題であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象である「公益的取組み」は、社会福祉法人が地域住民や地域団体、関係機関、他の社会福祉法人等と連携し、当該地域における福祉課題の解決に向けて実施される公益性の高い活動である。2020年度~2022年度の3年間は新型コロナウイルス感染症の拡大によって活動が制限された。 2020年度は、これまでの研究成果を多方面から検討し精緻化するため、経営学における経営管理の理論のなかで、管理過程理論および条件適用理論に関する先行研究レビューによる文献研究を実施した。研究成果として、社会福祉法人における公益的取組みを促進する経営管理プロセスの要因ごとに課題を整理した。また、法人と外部環境に関連する要因をふまえ、公益的取組みを促進する経営管理の概念枠組みを検討し、実証する必要性を示した。 2021年度は、2020年度に引き続き、実施上について情報収集を実施したが、活動が十分に実施されておらずデータ収集が困難であると判断し、研究計画の見直しを見直し、調査票の修正および調査時期の見直し、事例調査のための情報収集を実施した。 2022年度は、質問紙調査を実施予定であったが、情報収集の段階で公益的取組み実施の目途が立たない法人の存在が明らかとなったため、データ収集が困難であると判断し、調査時期の見直し、事例調査のための情報収集を実施した。 2023年度からは多くの法人で活動が再開された。そこで、2023年度に当初予定していた質問紙調査(障害者支援施設および児童養護施設を除く)を実施し、公益的取組みの展開について、経営管理要因に着目して課題を検討した。 研究成果として、公益的取組みの継続性を担保するシステム開発と、法人施設の持つ資源と地域の福祉課題について公益的取組みを媒介してつなげ、課題の解決を図るシステム開発が、公益的取組みの展開における新たな経営管理の課題であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、社会福祉法人の公益的取組みに影響を及ぼす経営管理の要因を検討することにより「公益的取組みをどのように展開してよいかわからない」という法人における公益的取組みの円滑な展開への寄与を期待するものである。2020年度から2023年度の研究成果として、公益的取組みの実施にあたり、実施法人は増加したものの、実施内容に大きな変化は見られず、解決すべき課題に対して継続性を持った活動展開が必要とされていることが示唆された。また、管理体制として、職員間の共有は広がっているが、取組みを担う人員確保の課題が残されていることが示唆された。 そこで、公益的取組みの継続性を担保するシステム開発と、法人施設の持つ資源と地域の福祉課題について公益的取組みを媒介してつなげ、課題の解決を図るシステム開発が、公益的取組みの展開における新たな経営管理の課題であることが示唆された。 他方、2023年度の調査では新型コロナウイルス感染症拡大による活動展開への影響を考慮し、研究代表者が実施した2018年調査との比較による実施状況の把握を行うため、研究計画を変更し社会福祉法人のうち、特別養護老人ホームを対象として質問紙調査を実施した。そのため、研究実施期間を1年延長し、特別養護老人ホーム以外の他の社会福祉施設(障害者支援施設(入所型)・児童養護施設等)を対象とした質問紙調査を予定している。また、公益的取組みに影響を及ぼす経営管理要因の更なる精緻化を図るため、先進的な取組みを展開している法人に対する事例調査を実施する予定である。
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