Project/Area Number |
20K13841
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
児島 博紀 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (50821542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 教育の正義 / 教育の平等 / 適切・妥当性 / 家族の価値 / 平等主義 / ロールズ / リベラリズム / 機会の平等 / 生活水準 / ケイパビリティ / 教育機会の平等 / J. S. コールマン / 概念史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、英語圏における〈教育機会の平等〉概念とその意味内容の変遷を、哲学的な観点から検討し明らかにしようとするものである。初年度は、概念の曖昧さや多義性の問題の発端となった米国の〈教育機会の平等〉論争について、問題の提起者である社会学者J. S. コールマンの言説を中心に検討する。2年目は、英国の学術誌Oxford Review of Education(ORE)における〈教育と不平等〉をめぐる諸理論を検討する。3年目は、現代の政治哲学・倫理学者の〈教育の正義〉をめぐる論争を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語圏における〈教育機会の平等〉概念の展開や変遷について、哲学的な観点から検討し明らかにしようとするものである。2023年度は主に、2021年度および2022年度の成果を発展・統合させるような形で研究を行なった。ただし、業績としては未公刊にとどまった部分が大きく、成果公表に向けてさらに継続して研究を遂行する必要がある。主なポイントとしては以下の通り。 まず、2022年度に扱った現代の〈教育の正義〉論争の検討の継続を行なった。とくに教育の平等論の立場に立つH. ブリッグハウスとA. スウィフトによる議論を取り上げつつ、教育における三つの分配原理とその含意の検討を行なった。三つの原理は、〈教育の平等〉、〈適切・妥当性〉、〈より不利な者に便益を与えること〉である。これらは政治哲学における目的論的平等主義、十分主義、優先主義の区別にほぼ対応するものの、それらの単純な応用にとどまらない側面や含意をもつ。そして、教育の平等と適切・妥当性との対立はーー2022年度に検討した内容とは異なる意味でーー根本的な対立を含むと考えられる。それは、両者が「平等」に対する見方のみならず、教育という財(善)にどのような価値を見出すのかの見方における対立も含む点である。 また、こうした教育の平等論と、2021年度に扱った〈家族の価値〉論との関係についても改めて検討した。教育の平等と家族の価値との対立がどのような含意や論点を含むか改めて考察したが、この対立ゆえに教育の平等から適切・妥当性の追求へとシフトすべきか否かの判断には、教育の平等の重要性をめぐる根本的な価値判断の問題が控えている。それゆえ、こうした視点から諸々の論争を捉えなおすことで、教育機会の平等概念の展開や変遷についても、今後新たな理解が得られるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度はコロナ禍の影響から脱してきたため研究環境は改善したものの、研究実績の概要欄にも記したように、それまでの年度に行なった研究の発展・統合という性質にとどまり、また、成果の公刊という点でも不十分なものであった。依然として遅れを取り戻すことができていない点で、上記のように自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況欄に示したような遅れをふまえつつ、2024年度はとくにこれまでの研究成果の論文化と公刊に重点化しつつ研究を遂行する予定である。また、これまでの過程で検討が手薄なままにとどまっている、英国における〈教育と不平等〉論の検討も進展させ、研究計画の十全な遂行へと近づけたい。
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