Project/Area Number |
20K13901
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 元太 京都大学, 防災研究所, 助教 (90849192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 防災教育 / 国際支援 / カルチュラル・チューニング / インターローカリティ / メキシコ / 防災科学 / 知識・技術 / ネパール / ビジュアルエスノグラフィ / リスク社会 / リスクコミュニケーション / 長期評価 / 支援者 ‐ 被支援者 / 国際協力 / 災害観 / 持続可能性 |
Outline of Research at the Start |
先進国の「支援者」が発展途上国の「被支援者」に防災教育を行い、防災知識・技術を伝える国際的な防災教育支援がある。しかし、先行研究やフィールド調査から、知識・技術が「被支援者」に定着しないという課題が挙げられた。本研究では、支援者と被支援者との間の文化差、すなわち災害観の差異が、知識・技術の定着を阻害しているとの仮説に立って、支援者と被支援者との間の災害観の差異を理論的に位置づけるツールを提示し、同ツールに基づいた防災教育プログラムの開発を行う。さらに、応募者を支援者とする国際的な防災教育のアクションリサーチを実践し、同ツールの有効性を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
支援者と被支援者との間の災害観の差異を明らかにするとともに、支援者と被支援者間で防災実践を移転する手法、すなわちカルチュラル・チューニングについての研究を進めた。本研究では、カルチュラル・チューニングを「ある文化のもとで行われている実践を、異なる文化に移転して実践するとき、移転先の文化にあわせて実践を調整・適応することで、文化的摩擦(コンフリクト)を軽減し、移転先の文化に埋め込まれた実践へと変革する一連の過程」と定義づけた。そして、日本で開発された防災教育教材を、エルサルバドルおよびメキシコの文化にチューニングする実践を詳述し、何がチューニングされたのか、すなわち災害観の差異を考察した。そして、価値(Value)、規範(Norm)、プロセス(Process)がチューニングされること、そして、当事者が意図せず調整してしまう余地(チューンド)があることを論じた。さらに、防災実践が展開するモデルについても研究を進めた。地震・津波防災教育の歴史的展開・普及を調査し、一般的な展開モデルとしてのトップダウン型、水平展開型に加えて、インターローカル型を区分した。普遍的な防災教育手法の開発だけではなく、地域に独自の防災教育実践も他地域へと展開・普及することを示した。さらに今年度は国際シンポジウム「災害の描かれ方 ポピュラーアートがむすぶ時間・空間・異文化間」をオンライン開催し、メキシコ・日本両国でポピュラーアートを活用した防災教育実践に取り組む研究者・実践者らによる講演とディスカッションを行った。同シンポジウムには、メキシコを始めとする中南米諸国と日本を中心に565名が参加し、本研究の成果を共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度報告において挙げた地域性の高い災害観の考察について、カルチュラル・チューニングに関連する論文の出版および国際シンポジウムの開催によって進捗が得られている。本科研費全体としては、新型コロナウイルス感染症による渡航制限によって、一部、実現できなかった研究はあるものの、概念的整理や理論的検討などは進められていることから「おおむね順調に推移している」とした。また日本国内の災害において、在留外国人が避難所で様々な課題に直面していることや地域防災への参加が困難であることが指摘されているが、これは、本科研費の支援者と被支援者との間の災害観の克服の議論とも密接にかかわることであり、本研究の成果を活用できると考える。様々な支援者-被支援者の関係性を考慮し、本研究で得られた知見を日本国内の地域防災にも活用し、より包括的な議論とするため、本研究を延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度は、メキシコでのフィールドワークを継続し、特にカルチュラル・チューニングによって導入された防災教育教材の継続性・持続可能性について調査する。また、日本国内においても在留外国人が災害時に様々な課題に直面していることから、その状況の調査や、これまでの研究で得られた知見を活用するための在留外国人が参加するタイプの防災教育実践を検討・推進する。そのうえで、支援者と被支援者との間の災害観の差異を踏まえた支援手法の整理を行う。
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