Project/Area Number |
20K13986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Ferris University (2022-2023) Kanazawa Gakuin University (2020-2021) |
Principal Investigator |
井内 健太 フェリス女学院大学, 文学部, 准教授 (50825552)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 国語教育 / 古典教育 / 学習指導要領 / 主体的・対話的で深い学び / 教科書研究 / 源氏物語 / 伊勢物語 / 国語科教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、高等学校における新学習指導要領のもとでの古典教育のあり方について、教材及びそれを用いた授業の観点から明らかにする。新旧の国語教科書、指導書及び視聴覚教材等の古典教材を調査し、授業実践の方法について検討する。また、現代語訳や近現代の文学作品を用いたり、他教科との連携を視野に入れたりしながら、新しい教材のモデル構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新科目となる「古典探究」を中心に国語教科書の調査を行った。各教科書会社に収録されている古典教材についての調査を行い、採録状況の確認、旧版の教科書との比較などを行いながら、新しい授業実践がどのように目指されているのかを確認した。また、近時に発表された古典教育の成果を博捜しつつ、「主体的・対話的で深い学び」を古典教育の中で実践するモデルを模索した。 同時に、教科書教材として旧来から引き続き採用されている『源氏物語』における「もののけ」の登場場面について、調査・考察を進めた。その成果として「『源氏物語』葵巻におけるもののけ描写について――加持を中心に――」(『玉藻』第58号、2024年3月)を発表した。本稿では、古典文学作品にしばしば登場する「もののけ」の認識が高校教育の現場やマンガ・映画などのエンターティンメント作品において必ずしも当時の実態に則しておらず、誤ったイメージが再生産されている状況に鑑み、物語中の描写の分析を通して、もののけ及びそれへの対処法である「ヨリマシ」と呼ばれる霊媒を用いた「加持」について考究している。また、古記録などの歴史史料や『源氏物語』以前に成立した『うつほ物語』などにみられる「もののけ」との比較を通して、『源氏物語』が同時代の現実にある面では即しながら、また他方では独自の物語世界を形成している、その方法を明らかにすることを目指した。本稿は、『源氏物語』に関する研究であるとともに、教材研究の面においても資するものである。 また、本研究の直接的な成果ではないが、その副産物として、一般書籍『よくわかる源氏物語【マンガと図解で身につく】』(ユーキャン、2024)を分担執筆した。本書では、『源氏物語』の入門書でありながら、古典の探究的な学習へとつながる内容になるよう意を配っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この期間では、新カリキュラムにおける古典科目である「古典探究」の教科書が発表され、調査することができた。これにより、本研究の主目的である、新学習指導要領における古典教材及び授業のあり方について、特に対話を取り入れた探究的な学習について、確認・分析することができた。その成果の一端として、『源氏物語』の教材研究へとつながる論文を発表することができた。 また、本研究の副産物として、『源氏物語』の探究的学習における教材にも活用することができる入門書を分担執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き「古典探究」の教科書について調査・分析を行う。「古典B」などの旧教科書との比較から、新たに目指されている授業実践のあり方を調査したい。 また、特に『源氏物語』やその前後に成立した物語作品を中心に取り上げることとする。すでに定番とされている教材を新たな角度から見直すことや、これまで教材として取り上げられてこなかった箇所の教材としての可能性を追究することなどをして、新しい国語教育における古典教材としての意義について再考する。
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