「高次Fittingイデアルを用いた岩澤理論の精密化」の拡張と明示的計算
Project/Area Number |
20K14295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | Gunma University (2021-2023) Keio University (2020) |
Principal Investigator |
大下 達也 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (70712420)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 岩澤理論 / イデアル類群 / 楕円曲線 / セルマー群 / L関数の特殊値 / 新谷生成類 / 整数論 / Selmer群 / Galoisコホモロジー / Euler系 / 高次Fittingイデアル |
Outline of Research at the Start |
岩澤理論は、与えられた素数pに対して、「p進の世界」において、整数論における代数的な対象と解析的な対象の間の関係を研究する分野である。本研究では、岩澤理論における重要な不変量である特性イデアルよりも精密な情報を持つ、高次Fittingイデアルと呼ばれる不変量に着目して、次の目的の達成を目指す。
(1) 従来よりも多様な代数的対象に対して、p進L関数やEuler系等の解析的対象を用いて高次Fittingイデアルを記述する理論を確立する。
(2) Euler系のKolyvagin導分の明示的な表示に関する研究や、解析的対象同士の比較を行う研究を通して、解析的対象をより明示的に扱う理論を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特に、「代数体の拡大に沿ったイデアル類群の漸近挙動に関する平之内俊郎氏(九州工業大学)との共同研究」と、(2)「総実代数体に付随する代数的トーラスの族とポリログ、新谷生成類に関する坂内健一氏(慶應義塾大学)らとの共同研究」の2つの研究に 従事した。以下では、特に(1)の研究について、本年度の進展を述べる。 本年度、(前年度アクセプトされた)1本の論文が出版された。この論文では、楕円曲線の岩澤理論を用いて、(技術的な仮定の下で)楕円曲線の素数冪等分点を添加して得られる代数体の拡大塔に沿ったイデアル類群のある種の部分商の系列の漸近挙動を記述した。本年度は、この論文で得られた結果の改良および計算機を用いた具体例の構成に関して平之内氏と研究打ち合わせを行い、今後の研究の展開に向けた準備を行った。特に、イデアル類群と直接的に関係する「不分岐」局所条件を含めて、種々の局所条件から定まるセルマー群の比較を行い、拡大塔に沿ったイデアル類群の挙動をより精密に記述する方法や、拡大塔に沿ったイデアル類群の部分商の挙動と(岩澤主予想を通した)p進L関数の岩澤不変量との関係について検討を行った。また、具体的な設定の下での計算を通して、(これまで詳細に扱うことができなかった)楕円曲線が分裂する乗法的還元を持つような素点におけるガロアコホモロジー群の挙動を観察することで、これまでの研究で課していた技術的な仮定の緩和に向けた困難と解決方法を検討した。 上記の他、本年度は、佐久川憲児氏、田坂浩二氏と共同で、研究集会「名古屋数論幾何集会」の運営に携わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は共同研究者との対面での研究打ち合わせを通して、研究の今後の展開に向けた準備を行うことができた。しかし、元来の計画では、本年度が最終年度であり、研究課題が達成できているとは言えない状況である。特に、科研費の採択期間の前半はパンデミック下で、対面での打ち合わせが滞っていたことの影響は決して無視できるものではなかった。研究課題を完了するためには、1年、研究期間の延長が必要である。以上の理由により、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、共同研究者との研究打ち合わせを通して、現状の課題に対して、その困難な点と解決方法について議論を深めることができた。次年度は、これを足掛かりとして順次、研究を遂行していく予定である。特に、イデアル類群の漸近挙動の研究については、当面の課題であった乗法的還元を持つ素点に関する技術的な仮定の緩和や、イデアル類群(の部分商)の挙動と楕円曲線の岩澤理論のより詳細の記述に向けた研究に着手していく予定である。更に、(部分商ではなく)イデアル類群そのものの挙動の記述や、より多様なモチーフに由来する拡大塔への拡張、非可換岩澤理論への応用、数論的位相幾何学の類似など、今後の更なる研究の展開に向けたアイデアについて、(必要に応じて)国内外の専門家との研究討論を交えながら、幅広く検討していきたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(12 results)