計算代数手法に基づく正標数の代数曲線に関する研究の深化と暗号応用への展望
Project/Area Number |
20K14301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 桃成 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (10824708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 超特異曲線 / 超特別曲線 / 計算代数幾何学 / 自己同型群 / アーベル多様体 / 同種写像 / 正則微分形式 / グレブナー基底 / 代数曲線 / 計算代数 / 暗号応用 / 超特異アーベル多様体 |
Outline of Research at the Start |
数学とその応用領域において,曲線は古くから研究されてきた重要な研究対象であり,その中でも特に代数曲線は,代数幾何学・整数論およびその応用分野(暗号理論など)で主に研究されている. 本研究では,代数曲線を分類する上で特に重要な役割を果たす,超特異曲線と呼ばれる代数曲線の(非)存在性の決定を主課題としており,理論・計算・応用を含む多方面からのアプローチによってその解決を目指している. 本研究で得られる超特異曲線は,量子計算機による解読に耐性を持つ新たな暗号方式のパラメータとしての利用が期待されているため,本研究の完成により,代数学の諸分野のみならず情報セキュリティに対する貢献も可能となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
正標数の代数幾何学における主要な課題の一つである,与えられた不変量をもつ正標数の体上の曲線が存在するか否かの決定,および存在する場合は数え上げや各曲線の構造決定について,主に研究に取り組んだ.また,これらの課題の解決に必須となる,計算代数幾何学のアルゴリズム群を整備した.2022年度の主な結果は以下の四つである. [1] 原下秀士氏(横浜国立大学),大橋亮氏(横浜国立大学)との共同研究において,自己同型群がKlein四元群を含むような種数4超特別hyperelliptic曲線の高速生成アルゴリズムを開発し,計算機上の実行によって従来研究よりも非常に大きな標数(7,000程度)に対し数え上げの結果を得ることができた.この結果は査読付き国際会議WAIFI2022に発表が受理された. [2] 中川輔氏(東京大学),高木剛氏(東京大学)との共同研究で,自己同型群が位数6巡回群を含む種数4超特別hyperelliptic曲線の高速数え上げアルゴリズムを開発した.この結果は査読付き国際会議CASC2022に発表が受理された. [3] 守谷共起氏(東京大学)との共同研究で,アーベル多様体間の分解Richelot同種写像を計算するアルゴリズムを開発し,その応用として種数3の場合に超特別曲線を高速に列挙するアルゴリズムを構成した.この結果はプレプリントにまとめarXivに公開済みであり,現在雑誌投稿中である. [4] 原下氏と共同で,特異点を持つ平面曲線の特異点解消を求めるアルゴリズム,およびその得られた非特異曲線の正則微分形式のなす空間を計算するアルゴリズムを開発した.この結果はプレプリントにまとめarXivに公開済みである. これらの他にも,有限体上の連立代数方程式系の高速求解アルゴリズムや,外積代数におけるグレブナー基底の高速計算に関する結果が得られており,それぞれ論文にまとめ雑誌投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度当初の計画では主に種数4超楕円(hyperelliptic)の場合における超特別曲線および超特異曲線の存在と数え上げに取り組む予定であったが,これは上記研究実績の概要における[1],[2]において進展させることができた.また,副課題としてアーベル多様体の間の同種写像について計算方法の整備を行う予定であったが,これは[3]においてRichelot同種という条件付きであるが進展させることができた.上記に加え,2023年度以降での研究の推進を検討していた,[4]の一般の平面曲線に対する正則微分形式のなす空間を計算するアルゴリズムなどの,本研究課題解決のために必須となる計算代数幾何学のアルゴリズムを幾つか開発することができた.これらのアルゴリズムにより,超特別曲線および超特異曲線を含む正標数の代数曲線(やアーベル多様体)をより深く調べることができるようになったため,2023年度以降の研究がより効率的に遂行できる見通しが立ったと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究成果を踏まえ,今後はより困難とされる種数5以上の超特別曲線および超特異曲線の(非)存在性の決定と数え上げに取り組む.種数4以下についても,自己同型群の形ごとの(非)存在性の決定と数え上げに関して未解決問題が残されているので,これについても問題の解決を目指す.また,計算機を用いてこれまでに得られた(あるいはこれから得られる)結果については,実験データをもとに理論的な証明も行う.加えて,同種写像や各種不変量の計算などの,計算代数幾何学のアルゴリズム群の整備についても引き続き推進し,開発したアルゴリズムを応用することで上記の超特別曲線および超特異曲線を含む正標数の代数曲線に関する課題の解決に貢献する.これらの課題解決に向けて,これまでに引き続き原下氏,大橋氏,守谷氏らとの共同研究を今後も実施する. また,新型コロナウイルス感染症の5類引き下げに伴い行動制限も緩和されてきたので,出張による打ち合わせや学会参加などを行い,共同研究を効率的に遂行するとともに本研究で得られた成果を積極的に発表する.
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Report
(3 results)
Research Products
(35 results)