Project/Area Number |
20K14308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Tohoku University (2023) Kyushu University (2020-2022) |
Principal Investigator |
高橋 良輔 東北大学, 理学研究科, 助教 (20854706)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | J-方程式 / dHYM方程式 / ケーラー・アインシュタイン計量 / 幾何学的フロー / GIT安定性 / Fano多様体 / Kahler-Einstein計量 / 放物型PDE / 幾何学的不変式論 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではFano多様体上の逆モンジュ・アンペール流(放物型PDE)と満渕ソリトン(そのソリトン解)を幾何解析および幾何学的不変式論的視点から研究することで,Fano多様体を扱う新しい枠組みを構築する.具体的には次の研究A, Bを行う予定である: 研究A フローに沿った多様体の幾何収束性を調べる.具体的には,極限空間の特異点集合の次元や代数性など. 研究B 満渕ソリトンが存在するためのGIT的な必要十分条件を与える.また応用として,適当な正則不変量による障害の消滅のもとで,Calabiの端的Kahler計量の存在が満渕ソリトンの存在を導くことを示す.
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Outline of Annual Research Achievements |
deformed Hermitian-Yang-Mills (dHYM)方程式は半平坦Strominger-Yau-Zaslowミラー対称性の文脈においてspecial Lagrangian切断のミラーとして現れる正則直線束上の2階の楕円型PDEであり,近年,数学・物理学の両サイドからの関心が高まっている.dHYM方程式を許容する直線束は複素多様体上の連接層全体のなす導来圏においてBridgelandの意味で安定な対象を定めていると考えられるが,この観点から方程式をより高階のベクトル束に一般化する研究が求められている.今年度は,前々年から引き続き滑らかな射影曲面上の(Mumford-竹本の意味での)半安定束Eに豊富直線束Lの十分大きな冪を掛け合わせて得られるベクトル束を考察した.十分大きい冪に対しては,J-方程式(dHYM方程式をより単純化した方程式)の摂動としてdHYM方程式の解を構成する方法が既に得られていたわけだが,とりわけ,2次元複素射影空間上の,1次Chern類が零であるような階数2の安定束のextensionとして得られる階数3の半安定束Eを調べた.このEはGieseker安定(したがって,半安定)ではあるが,安定でないベクトル束の例としてよく知られている(丸山の例).私はGieseker-Bogomolov不等式などを用いてChern指標の漸近挙動についての考察を行い,実際にこのEが条件を満たしていることを確認した.上記の例を加筆した論文は,既にJournal of Functional Analysisから出版済みである.また,いくつかのセミナーにて研究成果の発表を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDEの解を摂動を用いて構成する方法は基本的には陰関数定理によるものだが,Eのassociated graded objectが複数のstable componentを持つ場合,その証明は極めて複雑な様相を呈する.今回構成した具体例は2次元複素射影空間という基本的な定空間ではあるものの,stable componentが2個の例になっており,今後研究を進める上でも意義があるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きJ-方程式,dHYM方程式等のcomplex Hessian方程式の研究を行う予定である.G. ChenによるJ-方程式に対するNakai-Moishezon型の数値判定法の証明は連続法によるものだが,幾何学的フローを用いた証明は未だ知られていない.幾何学的フローに沿った特異点形成をよく調べることで別証明が得られるのではないかと考えている.また,dHYM方程式の場合,nが3以上の自然数だとn次元非射影多様体上では数値判定法が成り立たないような例がJ. Zhangによって構成されていたが,近年,Fang-Maによって平均角がπ/(n-1)より小さければ,数値判定法が依然として成り立つことが示された.これはJ-方程式の場合には見られない特有の現象であり非常に興味深いが,一方で,π/(n-1)がsharpな値かどうかは分かっていないので,今後,J-方程式,dHYM方程式の両者を見比べながらこの値の改良に取り組むという研究方針も考えている.
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