Project/Area Number |
20K14327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森岡 悠 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (80726597)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 関数解析学 / 散乱理論 / 関数方程式論 / スペクトル理論 / 量子ウォーク / 共鳴極 |
Outline of Research at the Start |
波動伝播現象に対する散乱理論では, 遠くからの入射波に対し, 物理系が持つ何らかの摂動(例えば原子や分子の間に働く力や, 障害物など)が作用して散乱波を生じる様子を数学的に調べる. 本研究では, 散乱理論を数学的に記述する重要な対象として, ユニタリ作用素のスペクトル理論に注目する. 散乱波の中には, 散乱行列と呼ばれるユニタリ作用素が含まれる. また, 最近散乱理論の対象として注目される量子ウォークのモデルは, ユニタリ作用素を用いて記述される. ユニタリ作用素のスペクトルにより, 散乱理論の諸現象をより詳しく調べる.
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Outline of Annual Research Achievements |
量子力学に関連する数理モデル、特にシュレーディンガー方程式と量子ウォークに対する時間定常的な散乱理論では、要所にユニタリ作用素が現れる。散乱波に含まれる散乱行列は、あるコンパクト多様体上のヒルベルト空間におけるユニタリ作用素である。離散時間量子ウォークの時間発展作用素は、シフト作用ととコイン作用素からなるユニタリ作用素で記述される。いずれの場合も、散乱理論の立場から、ユニタリ作用素のスペクトルの構造を明らかにすることを目的として研究を進める。今年度は、量子ウォークの研究に関して以下の成果を得た。 (1) 前年度に得られた量子ウォークの共鳴極に関する結果は、流出入を伴う有限系での量子ウォークと事実上等価である。このモデルは、流出入のため時間発展作用素が非ユニタリとなり、その固有値は単位円周から外れて分布するため、量子ウォークの時間発展も複雑となる。その収束速度や極限分布は固有値に影響を受けるが、この分布は、1次元量子ウォークに対する共鳴極の分布を見ることに対応している。 (2) 今年度は、これまで得られた結果の対外的な発表に特に力を入れた。3件の国際会議を含む口頭発表を実施した。また、主に量子ウォークに関する共鳴極の結果を査読付き論文として国際誌に掲載することが決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ウォークのスペクトル・散乱理論と関連する話題に関しては、研究遂行の流れの中で共同研究となったものを含めて、予想以上の知見を得ることができた。特に、量子ウォークに関する固有値問題の枠組みの延長として、共鳴極の研究への展開において大きな収穫があった。シュレーディンガー方程式の非散乱エネルギーの研究に関しては、準古典解析の手法と共鳴極に関する研究と深く関わることを理解しつつある。この方面は膨大な研究の蓄積があり、情報収集に時間を要する状況であったのだが、前述の量子ウォークの研究において、偶然にも類似の状況に遭遇しており、この研究を通じて準古典解析に対する基本的な理解を深めつつあるところである。これらは現在のところ論文としてはまとまっていないが、令和6年度に大学院向けの集中講義を計画しており、ここで活用される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は当初の研究計画の最終年度であったが、研究成果の公表を継続するため、令和6年度に計画の一部を延長した。令和6年度は、本計画の総まとめとして対外的な成果発表を行う。
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