彗星の各種分子の元素同位体比と鉱物の熱履歴から探る原始太陽系円盤の物質輸送
Project/Area Number |
20K14541
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
新中 善晴 京都産業大学, 神山天文台, 専任専門員 (60774429)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 彗星 / 太陽系小天体 / 酸素禁制線 / 偏光 / 化学反応 / DSMC法 / 揮発性分子 / ダスト / 元素同位体比 / 鉱物組成比 / 原始太陽系円盤 |
Outline of Research at the Start |
太陽系始原天体の観測に基づく原始太陽系円盤の理解は、一般の原始惑星系円盤の理解、特に円盤赤道面付近の円盤進化モデルの試金石として重要である。しかしながら、原始太陽系円盤における物質輸送・循環に関する統一的な物理描像は得られておらず、その解明が喫緊の課題である。本研究では、原始太陽系円盤の氷微惑星の生き残りである彗星をプローブとし、円盤の氷雪線外側における物質の輸送・循環に敏感な各種分子の物理量と円盤の氷雪線内側における物質輸送のプローブであるシリケイト鉱物の結晶度を観測的に求めることで、統一的な理解が得られていない原始太陽系円盤内の大局的な物質輸送・循環とその原因を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、彗星氷の主成分であるH2O、CO、CO2の化学組成比の推定を目的として、彗星コマの物理モデルを開発した。このモデルでは、彗星コマ中でこれらの分子が太陽紫外線による光解離反応により生成され、可視光領域で発光する酸素禁制線の強度比と線幅を同時に説明できる。本モデルにおいて、酸素禁制線へのCO2分子及びCO分子の寄与の検証の検証のため、国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡の時間を取得し、水分子がほとんど昇華しない太陽から遠方での彗星の観測を試みたが、観測装置トラブルや悪天候により、十分な精度のデータを得ることができなかった。 並行して、彗星ダストの性質を明らかにすることを目的に、彗星の偏光データから彗星に含まれるダストの性質を明らかにすることを試みた。偏光データは、2018年9月16日に国立天文台三鷹キャンパス50cm望遠鏡に搭載された偏光撮像装置PICOで得られた21P彗星の観測データを用いた。同彗星の強度マップは、東西方向に細長いコマ構造を示しており、太陽方向-反太陽方向の強度の空間分布から、コマ内部でダストの崩壊により生じる散乱断面積の増加による明るさの変化が見られた。一方で、直線偏光度マップはほぼ一様で、コマの内側にジェットやアーク構造は見られなかった。コマ内の直線偏光度は22%で、先行研究で報告されている同彗星の異なる波長での偏光観測と一致した。また、過去の観測結果との比較から、1985年回帰から2018年回帰まで、同彗星のダストの特性(組成、空隙率、サイズ分布)に大きな変化を示す証拠は見つからなかった。これらの結果から、21P彗星は、彗星コマ中でダストの崩壊は生じているが、偏光度が優位に変わるほどのダスト特性が変化しないことを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
彗星氷の主成分であるH2O、CO、CO2の化学組成比の推定を目的として、彗星コマの物理モデルの開発の大部分が完了した。国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡の観測時間を取得し、モデル検証のためのデータ取得を予定していたが、観測装置トラブルや悪天候により、十分な精度のデータを得ることができなかったため、実際の観測結果との比較をするに至らなかった。一方で、過去に取得された偏光データを用いて、彗星ダストの性質を明らかにする研究を進めた。この成果は、現在査読論文誌に投稿中であり、改訂作業を進めている。よって、本研究はやや遅れていると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、原始太陽系円盤の氷微惑星の生き残りである彗星をプローブとし、原始太陽系円盤内の対極的な物質輸送・循環とその原因を明らかにすることを目指している。具体的には、同一の彗星について、円盤の氷雪線外側における物質の輸送・循環に敏感な「各種分子の同位体存在比および超揮発性分子の存在比」と同時に、円盤の氷雪線内側における物質輸送のプローブである「シリケイト鉱物の結晶度」を観測的に決定し、サンプルを増やしていく。また、彗星ダストの偏光観測から、彗星に含まれるダストの性質を明らかにする。これらの研究に必要となる彗星の観測データを取得するため、すばる望遠鏡やVLT望遠鏡などの望遠鏡の観測時間を確保する。得られた研究成果について、研究会や査読論文として発表する。 観測時間が得られない場合は、共同研究者が過去に取得した偏光データの解析を進める。
|
Report
(3 results)
Research Products
(41 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] ESA-JAXA共同Comet Interceptorミッションの計画概要と科学戦略2021
Author(s)
船瀬龍, 笠原慧, 中島晋太郎, 尾崎直哉, 宇佐美尚人, 吉岡和夫, 坂谷尚哉, 亀田真吾, 松岡彩子, 村田直史, 横田勝一郎, 浅村和史, 齋藤義文, 村上豪, 桑原正輝, 河北秀世, 新中善晴、他
Organizer
第21回 宇宙科学シンポジウム
Related Report
-
-
-
[Presentation] Comet Interceptor ミッション:WGからISAS所内検討チームに移行2020
Author(s)
笠原慧, 吉岡和夫, 坂谷尚哉, 亀田真吾, 松岡彩子, 村田直史, 船瀬龍, 中島晋太郎, 尾崎直哉, 宇佐美尚人, 河北秀世, 新中善晴, 杉田精司
Organizer
2020年日本惑星科学会秋季講演会
Related Report
-
-
-
-