Project/Area Number |
20K14707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 20020:Robotics and intelligent system-related
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
大瀬戸 篤司 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (10775703)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 無人航空機 / 機械学習 / 動作生成 / 制御理論 / 飛行制御 / ドローン / 運動解析 / 投擲 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、無人航空機の高速自転によって発生する回転運動エネルギーを利用した位置変動を伴わない物体投擲(空中定点スピン投擲)の実現である。無人機を任意の機体軸周りに高速で自転させることで発生する回転エネルギーを用いて、並進運動・火薬・投射器の必要なく物体の投擲を行う。これを実現するため、高速回転状態でも安定して制御するための理論の構築と、複数軸の回転を組み合わせた無人機の投擲動作生成に取り組む。これによって、高速回転状態の維持という無人機独自の飛行を実現するとともに、きりもみ状態からの回復や回転運動による機体破損を防ぐなど、航空機の安全性を向上させることが狙いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無人航空機(以下、無人機)の高速自転によって発生する回転運動エネルギーを利用し、位置変動を伴わない物体投擲(空中定点スピン投擲)を実現することである。これによって並進運動・火薬・投射器の必要なく無人機からの物体の投擲を可能とする。空中定点スピン投擲を実現するため、これまで高速回転状態を維持する制御理論の構築、回転状態の運動推定を行うアルゴリズムを開発してきた。 まず高速回転状態での制御理論について、2023年度は2022年度から引き続き回転運動が既知の場合に、空中で回転状態のまま位置・姿勢の制御を可能とする制御理論の実証を行った。屋内でモーションキャプチャを用いて位置を計測しながら、飛行中に機体のヨー軸の回転速度を変化させ、ヨー回転状態のまま位置、姿勢を制御できるか検証を行った。結果として機体の回転が一定速度を超えると、制御が不安定となり飛行を継続することができなかった。この問題について検証を行ったところ、高速回転状態の維持には、制御システムに対してセンシング周期、制御演算周期、制御出力周期等の高速化を行う必要があることが判明した。そこで、各周期を高速化するために無人機の構成要素の再選定、高速化プログラム改修を行ったが、2023年度内には実証を行うことができなかったため、研究期間を一年延長した。 また回転状態の運動推定については、機械学習により運動推定を行うアルゴリズムを発展させ、運動推定だけでなく制御対象の状態が不確かであっても飛行制御を実現する制御器へと拡張を行った。その制御器について、本課題で開発した回転試験装置を用いて機体の重量、重心位置、完成モーメント等の物理パラメータが不確かな状態であっても、任意の姿勢を維持する制御が可能であることを実証した。 これらの成果について、雑誌論文へ採択されるなど、成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度は2022年度から引き続き、空中で高速回転運動を維持するための制御理論を無人機に実装し、高速回転状態でのホバリング飛行を実証した。ホバリング状態で姿勢の1軸を低速で回転させ続けたまま飛行することに成功しているが、高速回転状態を維持したまま飛行することができなかった。調査の結果、これらの問題は開発した無人機のシステムが、高速回転状態では機体の姿勢等を正しく計測できておらず、かつ制御出力に対してアクチュエータ(推進器)の応答が遅延していることが理由であることが分かった。そのため制御システムを見直し、センシング周期、制御演算周期、制御出力周期等のプログラムの高速化を行うとともに、高速な応答を実現するアクチュエータを再選定した。しかし原因の特定、システム改修に時間が必要であったため、2023年度内には予定していた高速回転状態での飛行制御と、高速回転エネルギーを利用した物体投擲を実証できていない。これらの結果を考慮して、進捗状況を「遅れている」と区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に実施できなかったホバリング中に高速回転状態を保つ制御の実証を優先的に行う。2023年度に、現在のシステムよりも高速な周期で制御を実現するシステム(センシング、制御演算、制御出力の高速化と、高速な制御出力に対応可能な機器の選定)を構築したので、この構築したシステムを用いて実験を行い、高速回転状態での安定した飛行の実現を目指す。このシステムにより制御理論が実証でき次第、無人機による物体の投擲動作の実証試験も行う。まずは1軸の回転エネルギーを用いた投擲動作を検証し、次に複数の回転運動の重ね合わせた並進運動を伴わない任意方向への投擲動作を実証する。 また本課題で構築した数値モデルと実システムに差異がある場合においても適用可能な、機械学習による制御器の実証と改善も並行して進め、現在の1軸のみの姿勢制御を対象とした制御器から、位置・姿勢の6軸の制御に適用可能とするように拡張を行う。 研究成果の論文投稿、学会発表も積極的に行う。
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