前近代オスマン朝の住宅史の再構築:接客空間の形成を中心に
Project/Area Number |
20K14936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川本 智史 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (10748669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | オスマン朝 / 都市 / 住宅 / 接客空間 / 建築 / 1455年台帳 / イスタンブル / 住居 / エヴリヤ・チェレビー / 建築史 / アナトリア |
Outline of Research at the Start |
本研究は14世紀から19世紀半ばまでの時期を対象として、オスマン朝アナトリアを中心とした地域の住居建築の発展過程を明らかとすることを目的とする。今日トルコ共和国の大部分を占めるこの地域には16世紀以前の住居建築は存在せず、それ以降の事例から住宅史が叙述されている。本研究は、まず文献史料と考古学的調査の結果からこの時代の住宅の空間構成を読み解き、とくに接客がおこなわれた空間の分析を試みることで新たな住宅史を構築することを試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2023年度には二度の現地調査を実施した。2023年9月にはトルコ共和国のテキルダーおよびエディルネを訪問し、18世紀の都市住宅および、16世紀の都市住宅遺構を調査した。また2024年3月にはエジプトのカイロ、アレクサンドリア、ラシードを訪問し、16世紀以降の住宅や、18世紀以降オスマン朝の強い影響のもと計画されたとされる都市住宅の調査をおこなった。これに加えて、現地調査地では研究文献の収集につとめた。 本研究全体における成果は次の通りである。第一に、1455年イスタンブル住宅調査台帳の分析により、15世紀半ばのイスタンブルに存在した住宅の大半が小規模な平屋家屋だったと結論づけられた。これは18世紀以降オスマン領で普及した中層で規模の大きい都市住宅とはまったく性格を異にする。16世紀エディルネに建設された都市住宅は初期の貴重な実例であったが、残念ながら今回の調査で完全に改築・破壊されていることが確認された。第二に、エジプトにある住宅建築との差異が浮き彫りになった。カイロでは中流以上のすまいは中庭を中心として、カーアないしマクアドとよばれる複数の開放的な接客空間をもつ。一般に中庭をもたず、閉鎖的な接客空間を用いる18世紀以降のオスマン朝の住宅建築とは異質であり、異なる起源をもつことが示唆される。第三に、前近代オスマン都市の行政組織とその近代化についても記述したオスマン・エルギンについての論考を発表し、また彼の著作の翻訳刊行作業を続けている。これは都市空間全体がどのようにデザイン・コントロールされていたかを伝える基礎的資料であり、今後さらなる分析を進める。
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Report
(4 results)
Research Products
(17 results)