Project/Area Number |
20K15005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 25030:Disaster prevention engineering-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清杉 孝司 神戸大学, 理学研究科, 講師 (90768722)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 霧島火山新燃岳2011年噴火 / 有珠火山1977年噴火 / 降下火砕堆積物 / 浸食 / 粒径分布 / 地質調査 / 降下火砕堆積物の浸食プロセス / 降下火砕堆積物の埋没プロセス / 噴火記録の消失 / 埋没 / 風化 / 噴火リスク評価 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,浸食等の影響を特に受けやすい未固結の降下火砕堆積物について,経過時間・噴火規模・地域差に着目し,浸食や埋没,風化が火砕堆積物の産状に及ぼす影響を明らかとし,その時間スケールを見積もる.そのため,(A)実際の火砕堆積物の浸食プロセスとその時間スケールの解明,(B)実際の火砕堆積物の埋没プロセスとその時間スケールの解明,(C)実際の火砕堆積物の風化プロセスとその時間スケールの解明,の3つの調査項目を実施する.本研究により降下火砕堆積物のリスク評価の目的と評価対象期間に応じた適切な調査分析手法の選択が可能になると期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、火砕堆積物の産状の経時変化を調査し、浸食や埋没、風化の進行のプロセスや時間スケールを明らかにすることである。これらを明らかにすることによって地質調査で得られたデータ(火砕堆積物の分布面積や体積、噴火の回数、給源)に関して堆積物の年代を踏まえた精度の検討が可能となる。 これまで霧島火山で行った調査によって明らかにした新燃岳2011年噴火の残存堆積物分布を噴火直後の堆積物分布と比較した。また、噴火直後の堆積物の層厚と粒度分布のデータを用いて、浸食されたり残存したりしている堆積物の特徴を明らかにした。 2011年噴火の降下火砕物が明瞭に残っている範囲は、噴火直後の面積の約5%に減少している。堆積物の分布軸(火口から南東方向)に沿った方向で見ると、噴火当初の堆積物が明瞭に残っているのは火口からの距離約18km以内の地点である。これらの地点は噴火直後に平均粒形1㎜以上の粒子からなる層厚1㎝を超える堆積物が確認された地点である。火口からの距離が約18kmを超えると、噴火当初の明瞭な堆積物は見られなくなり、2次堆積物しか見られなくなる。さらに火口から約22km以遠では2次堆積物などの噴火の痕跡も見られなくなる。これらの地点のほとんどでは、噴火直後の時点で堆積物の平均粒形が1㎜未満であり、層厚も1㎝以下であったことがわかった。一方で噴火当時1.8cmの堆積物が見られた地点でも堆積物の痕跡が無い場合が見られた。 現時点での堆積物分布を基に噴出物量を推定し、噴火直後の推定値と比較した。その結果、現時点で残っている堆積物分布を外挿することで元々のおおよその噴出物量を推定可能であることが分かった。 2023年度はこれらの結果について日本地質学会と日本火山学会、American Geophysical Union fall meetingにおいて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止のため調査ができなかった影響が残っており、全体的な進捗は遅れている。浸食量を明らかにするためにこれまでに行った霧島火山新燃岳2011年噴火に由来する降下火砕堆積物の分布調査は、論文化を進める段階にある(進捗率95%)。今年度はそのために必要な追加調査を行った。霧島火山由来の時代の異なる降下火砕堆積物の埋没量の調査については、これまで霧島火山の山麓部の数地点で測定を行っている(進捗率40%)。火砕物の風化の程度の分析については、新燃岳を起源とする時代の異なる火砕物を採取した(進捗率25%)。 全体的には今年度までで計画していた新燃岳の調査に関する進捗率は70%と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、霧島火山新燃岳の2011年噴火の結果と比較するため有珠火山1977年噴火を対象に概略調査を行った。その結果、有珠火山1977年噴火の堆積物にも残存している所と失われている所があることが分かり、噴火直後の調査結果と比較することで堆積物が失われた条件や環境等について調査可能であることが分かった。今後有珠火山1977年噴火の堆積物調査を本格的に実施する予定である。 降下火砕堆積物の埋没量の調査については、霧島火山由来の堆積物を対象とし、より遠方での埋没量を文献で公開されている柱状図などからコンパイルして広域的な埋没量の時間変化を定量的に明らかにする。また、同様の分析を有珠火山についても実施する。 火砕物の風化の程度の分析については、これまでに採取した時代の異なる霧島火山新燃岳起源の火砕物試料(2011年噴火噴出物、1716年噴火噴出物、約2300年前の噴出物、約2700年前の噴出物、約4500年前の噴出物)を対象に薄片作成や電子顕微鏡観察を行い、火砕物組織の風化の程度や粘土鉱物の生成、化学組成の変化を明らかにする。
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