Project/Area Number |
20K15300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中前 佳那子 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (20757231)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 金属クラスター / ナノ分子 / 遷移金属 / フラーレン / ナノカーボン複合体 / 分子変換 / 分子触媒 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、電子溜めとして機能するフラーレン上に複数の金属イオンを隣接して集積させた金属クラスターを合成し、このナノカーボン複合体を触媒反応に応用することで、電子授受が容易な配位子を備えた金属-金属結合が鍵となる高難度分子変換を達成することを目的とする。新奇化合物には、フラーレンの球面に広がるπ共役電子と遷移金属に由来する豊富なd電子との融合により発現する多彩な電子物性が期待される。さらに、触媒として利用することで、金属-金属結合が保持されるよう基質の酸化的付加及び還元的脱離に伴う電子授受を配位子であるフラーレンが担い、複数の金属間の協同効果を有効に利用した反応場へと展開できることをねらう。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,電子溜めとして機能するフラーレン上に複数の金属イオンを隣接して集積させた金属クラスターを合成し,このナノカーボン複合体を触媒反応に応用することで,電子授受が容易な配位子を備えた,金属-金属結合が鍵となる高難度分子変換を達成することを目的とした。まず,金属クラスターの調整として,研究室で独自に開発した直鎖型四座ホスフィンrac-[(diphenyphosphinomethyl)phenylphosphino]methane (rac-dpmppm)の光学分割を行い,得られたP-キラルなdpmppmを支持配位子に用いて,世界的にも珍しいキラルな分子性金属鎖となる直鎖状パラジウム8核錯体を合成した。そして,キラルなPd8核鎖とC60との反応からキラル場を拡張させ,ナノカーボン複合体となる新奇な金属多核ユニットの創製を行った。キラルな金属鎖を用いる前に,meso-dpmppmで支持したPd8核錯体に対してC60を反応させて結晶化したところ,[Pd4(meso-dpmppm)2(CH3CN)C60]2(OTf)4 (1)が高収率で得られた。その構造は,Pd8核鎖の中央のPd-Pd間結合が切断され生成する2つのPd4核ユニットの末端のPd(0)イオンとC60の2つの6員環が共有するC=C結合との間で新たに結合が生じ,Ci対称を形成していた。また,ESI-MS及びNMR測定から,CH3CN溶液中でも固体状態の構造を保持していることを確認した。そして,キラルなPd8核錯体を用いてC60との反応を行ったところ,種々分光分析の結果から錯体1と同様のC60が付加した錯体に変化しているものと推定された。CH3CN中のそれらのCDスペクトルにて鏡像的なコットン効果が観測され,キラルな分子性金属鎖からの拡張でC60を含んだユニークなキラル金属多核クラスターを構築できたことがわかった。
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