分子性物質におけるフォノン解析に基づく熱輸送-電荷輸送相関の解明
Project/Area Number |
20K15353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
小島 広孝 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70713634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 分子動力学計算 / 非平衡計算 / 熱輸送 / フォノン解析 / 有機熱電材料 / 電荷輸送 |
Outline of Research at the Start |
近年、研究が進められている有機熱電変換材料において、分子振動すなわちフォノンが熱伝導率などの熱的特性だけでなく、ゼーベック係数などの熱電特性にも重要な役割を果たしている可能性が示唆される。本研究では、量子化学計算などの静的な解析に加えて、フォノンに着目した動的な解析について、種々の計算化学的手法を組み合わせて実施し、フォノンの群速度や緩和時間等の解析により、熱伝導や電気伝導に寄与するフォノンのみを抽出し、分子ごとにその特性と分子構造とを照らし合わせることで、構造物性相関を得る。最終的には、分子構造の階層からフォノンエンジニアリングを指向した、新たな熱電材料の設計指針を得る計画である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,近年研究が進められている有機熱電変換材料において,熱的特性や熱電特性に重要な分子振動やフォノンに関して,量子化学計算や分子振動解析等を検討する。フォノンの群速度や緩和時間等を解析し,熱伝導や電気伝導に寄与するフォノンの特定や,分子構造などと照らし合わせることで構造物性相関を得る計画であった。 今年度は,昨年度に一定の進展が見られた分子動力学(MD)シミュレーションの深化を行い,非平衡計算による熱的シミュレーションから有機材料および複合材料の熱的特性を評価する手法の確立に注力した。シミュレーション上で温度差を印加しながら計算を行うことで,熱の伝わり方を微視的に観測することが可能となり,熱的性質の評価に必要なパラメータの取得に成功した。また,昨年度の成果から実装可能になった大規模計算により,部分的に欠陥などの構造的イレギュラリティを取り入れた系においても,周期的境界条件を課したままで摂動として扱えるようになった。この方法は,MD計算以外のアプローチとして想定していた周期構造を想定したフォノン計算における摂動の取り扱いにも影響を与える重要な手法になり得るが,諸般の事情によりフォノン計算の充分な検討には未だ至っていない。このため課題期間を延長し,次年度中に複数の計算手法による摂動の評価を行う計画とした。また,出身研究室の閉鎖に伴って設備の移設を行い,共同研究も含めた本課題における実験研究からのアプローチとこれによる計算研究へのフィードバック体制を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年に引き続き,クラス担任を務めることになり,年間を通して校務のエフォートが高い水準となった。新型コロナウイルス感染症への対策も断続的に求められ,想定外の雑務も多く発生するなどが原因で,研究の進展には依然として一定の遅れが発生している。また,出身研究室の閉鎖に伴う設備移設を行ったことから,移設に伴う慮外の作業も必要になった。研究成果にはある程度の見通しが立っているものの,上記理由などにより研究時間が不足したことから,課題期間を延長し,次年度中に本課題の成果を集約できるように計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
分子動力学計算の深化が完了し,大規模計算や構造的摂動の導入も可能になった。非平衡計算により,有機熱電材料などに対する熱的性質の評価に必要なパラメータも取得できたため,これと異なる計算アプローチの一つとして,フォノン計算などによる無摂動条件での熱振動のパラメータの収集と,摂動導入によるパラメータ変化の観測を行う。並行して,別課題として実施されている実験研究にも進展があり,実験研究側からも種々のパラメータが得られることで,本課題の計算精度を高めることができる。これには,今年度に整備した実験設備の活用も有効であり,特に振動解析などを検討している。一連の研究手法が出揃ったところで,有望と思われるあらゆる系に関して多角的研究を展開し,本課題の検討事項の集約を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)