温暖化と海洋酸性化が島嶼河川生態系に与える影響とリスク評価
Project/Area Number |
20K15584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Tohoku University (2022) The University of Tokyo (2021) University of the Ryukyus (2020) |
Principal Investigator |
福森 啓晶 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (60746569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 両側回遊 / 腹足類 / 浮遊幼生 / 環境変動 / 集団遺伝 / 次世代シーケンサー |
Outline of Research at the Start |
産業革命以降,地球温暖化・海洋酸性化が進み,沿岸に棲息する底生生物への影響が懸念されている.一方,海洋で生活環の一部を過ごす通し回遊を行う河川性無脊椎動物については,地球温暖化・海洋酸性化への応答に関する知見が少なく,回遊種が卓越する島嶼河川生態系への影響はよく分かっていない.本研究課題では,海洋での浮遊幼生期をもつ通し回遊性無脊椎動物が地球温暖化・海洋酸性化にどのように応答するのかを予測するため,炭酸カルシウムの殻をもつ回遊性貝類をモデル生物群として,幼生飼育,野外生態調査および幼生メタバーコーディング解析により検証し,島嶼河川生態系における将来的な環境リスクを評価する.
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Outline of Annual Research Achievements |
地球環境変動が生物に与えるインパクトを把握することは,将来の生態系・環境リスクを評価する上で重要となる.沿岸性底生生物の多くは浮遊幼生期を持ち,石灰化した骨格をもつ海産無脊椎動物では初期生活史における海洋酸性化・地球温暖化への応答について,これまで多くの研究がなされてきた.一方,海洋で生活環の一部を過ごす通し回遊をおこなう河川性無脊椎動物への影響については,ほとんど知見がない.また,成体生息環境である島嶼河川における水温の上昇が各種の分布域拡大や各地の群集構造に与える影響は未知数である.本研究では,海洋でのプランクトン幼生期をもつ通し回遊性無脊椎動物が地球温暖化・海洋酸性化にどのように応答するのかを予測するため,炭酸カルシウムの殻をもつ回遊性貝類をモデル生物群として,飼育実験・生態調査および次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析により検証し,回遊動物の卓越する島嶼河川生態系における将来的な環境リスクを評価することを目的とする.本年度は,日本産回遊性アマオブネ科腹足類について,DNAマーカーを用いた分散能力の推定を行なった.幼生飼育により,各種の初期生活史に関する情報を蓄積した.また,国内外の種についてDNAバーコーディング解析を進め,幼貝や幼生同定のためのデータを蓄積した.死滅回遊記録などの情報をまとめるため,採集標本を用いて各地域における各種の分布情報の把握を進め,各地域における出現種数を記録した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
両側回遊性貝類の地理的分布の把握,DNAマーカーによる集団遺伝学的解析,飼育観察による初期生活史の検討を行い,各地における分布種の規定要因(海流・気温など)を推定した.死滅回遊種が太平洋側各地で確認された一方,分布を拡大している種が確認された.日本産の多くの種で国内地域集団間での地理的変異は確認されなかった.各種の幼生期間には違いがあることが推定された.一方で,特に離島地域における野外での調査が予定通り実施できておらず,飼育設備の故障等が重なり研究計画にやや遅れが生じており研究期間の延長申請を行なった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに得られた結果を基に遺伝子解析・野外生態調査・飼育実験を行う.飼育設備機器の準備が整い次第,各種の環境変動への応答について検討する.また,DNAマーカーを用いた遺伝子解析を進める.得られた研究成果について,順次論文投稿を行う.
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)