条鰭類の進化モデルを用いた下垂体神経葉への軸索誘導因子の同定
Project/Area Number |
20K15834
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
東 森生 自治医科大学, 医学部, 講師 (90709643)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 下垂体神経葉 / 下垂体ホルモン / メラニン凝集ホルモン / 軸索誘導因子 / 条鰭類 / 受容体 / in situ hybridization / 神経内分泌 |
Outline of Research at the Start |
ニューロンは様々な栄養因子や軸索誘導因子に応答し、その機能を発揮するために適した領域へ軸索を投射する。脳底に突出する下垂体神経葉は、視床下部ニューロンが直接投射してホルモンを放出する内分泌器官であるが、ニューロンの軸索を神経葉に導く分子機序は未解明である。この問題を解決するため、本研究では、条鰭類の進化系統で神経葉ホルモンとして働くメラニン凝集ホルモン(MCH)に着目する。具体的には、「MCHニューロンが神経葉に投射しないポリプテルス」と「神経葉にMCHニューロンが投射する魚種」を比較し、神経葉に投射するニューロンに特異的な遺伝子発現や軸索を神経葉に導く軸索誘導因子を同定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
条鰭類の魚種では一般に、下垂体神経葉にメラニン凝集ホルモン(MCH)ニューロンの軸索が投射し、MCHを血中に放出して体色を明化させる。申請者は、現生条鰭類で最初期に分岐したポリプテルスではMCHニューロンが投射しないこと、チョウザメではMCHニューロンが神経葉に投射することを発見した。 令和4年度では、令和3年度に実施したポリプテルスとチョウザメのMCHニューロン存在領域に発現する遺伝子の比較解析結果を利用し、MCHニューロン特異な遺伝子の探索に注力した。具体的には、チョウザメで高い発現を示す遺伝子の組織中mRNAをin situ hybridization法で検出し、MCHニューロンに発現するか否かを検討した。その過程で、特に受容体のような低発現遺伝子を発現する細胞の同定を確実にするために高感度な多重in situ hybridization法が必要となった。そこで、プライマー交換反応によるDNA伸長を利用したsignal amplification by exchange reaction-fluorescence in situ hybridization (SABER-FISH法) を導入した。その結果、これまで多重染色が困難であった低発現遺伝子の細胞同定が可能となり、神経葉に投射するチョウザメのMCHニューロンに発現する受容体分子の同定を進めることができた。加えて、MCHそのものの機能を知る上で有益な情報となるMCH受容体がポリプテルスやチョウザメの下垂体内分泌細胞に発現することをSABER-FISH法を用いて可視化することができた。 令和5年度では、引き続きチョウザメMCHニューロンに特異的な遺伝子の特定を進め、神経葉への軸索誘導に関わる可能性のある遺伝子を欠損させたゼブラフィッシュの表現型解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに実施したトランスクリプトーム解析結果を利用し、MCHニューロン特異的な遺伝子を特定するためにin situ hybridization法により詳細な組織学的解析を実施した。しかしながら、通常のハプテン(ジゴキシゲニンやフルオレセイン)標識のRNAプローブを用いたin situ hybridization法では標的遺伝子単独の発現を検出して明視野像を観察できるが、低発現遺伝子の場合には多重染色後の蛍光観察による細胞同定が難しい状況であった。そこで、本研究課題遂行のためにsignal amplification by exchange reaction-fluorescence in situ hybridization (SABER-FISH法) を導入した。この方法により、MCH受容体のような低発現遺伝子であってもシグナルを増感して蛍光観察が可能となり、複数遺伝子の発現を同時に検出して共焦点レーザー顕微鏡での細胞同定に成功した。 実験施設におけるSABER-FISH法の立ち上げのために時間を要したため、当初の研究計画予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では令和4年度に引き続き、下記の予定で進める。 【①神経葉に投射するMCHニューロンに特異な発現遺伝子の同定】高感度in situ hybridization法であるSABER-FISH法による二重染色から、チョウザメの神経葉に投射する大型のMCHニューロンに特異な発現遺伝子を同定する。 【②遺伝子欠損ゼブラフィッシュの作製と対象遺伝子の機能解析】CRISPR/Cas9システムを用いて、神経葉に投射するMCHニューロンに特異な遺伝子を欠損したゼブラフィッシュを作出する。次に、胚のMCHニューロンをホールマウント免疫染色で可視化し、共焦点レーザー顕微鏡で撮影した連続画像からニューロンの形態を三次元構築し、軸索投射領域の変化を調べる。
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Report
(3 results)
Research Products
(21 results)