甲虫類における前翅形態の多様性:捕食者防御と飛翔効率のトレードオフの解明
Project/Area Number |
20K15863
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小島 渉 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (70750462)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 甲虫 / 防御 / 捕食者 / 物理的防御 / 飛行 / 鞘翅 / 前翅 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「甲虫の持つ頑丈な前翅は捕食者からの回避においては有利だが飛翔効率を低下させる」という仮説を、コガネムシ科を用いて検証する。頑丈な前翅のもつ物理的防御機能を明らかにするため、鳥類を捕食者のモデルとして用い、室内実験により、硬い前翅を持つ種ほど食べられにくいかを調べる。また、頑丈な前翅は飛翔効率を低下させるかについて、流体力学的な数値シミュレーションとフライトミルを用いた飛行実験により検証する。さらに、分子系統樹を用いた比較法により、前翅を閉じて飛ぶ種(前翅を飛行に用いない種)や飛行能力の退化した種は、前翅を開いて飛ぶ種に比べ頑丈な前翅を持つかを調べる。
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Outline of Annual Research Achievements |
コガネムシ類の硬い鞘翅が鳥類捕食者に対する物理的防御機能を持つかを、野外における捕食実験により検証した。鳥に与える昆虫として、前年度の硬さの測定の結果や生息環境などの情報をもとに、硬さや体の大きさの異なる9種のコガネムシ科を選定した。前年度まではウズラを捕食者として用いて室内での実験を行っていたが、ウズラは昆虫よりも草本の種子をおもに食べる種であり、より昆虫への選り好みが強い種として、ムクドリを実験に用いた。9種のコガネムシ類を、野外で餌付けされたムクドリに与えたところ、体サイズが大きく、かつ硬い体を持つ種はほぼすべての個体が無視された。それらの種はまったく無傷のまま生存していた。それらの忌避された種と同程度かそれ以上に体が大きくても、柔らかい体を持つ種は必ず捕食を受けた。また、硬い体を持っていても、体サイズがムクドリのゲープサイズより小さい種も必ず捕食を受けた。さらに、ムクドリから忌避された種の鞘翅、頭部、前胸部を除去し、オリジナルのものと外見と硬さが大きく異なる個体を用意しムクドリに与えたところ、大部分の個体が捕食を受けた。つまり、これらの種は味が悪いため忌避されたわけではないこと、そして、ムクドリはこれらの種の外見を学習・記憶し、忌避すると考えられる。以上の結果から、コガネムシ類の硬い外骨格は鳥からの捕食を回避する機能を持つことが示された。この効果は大型の種のみで見られたことから、硬い昆虫をムクドリは解体できない、あるいは解体するのに大きなコストがかかると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により延期していた野外実験を行うことができ、十分なデータが得られた。一方で、硬さの測定は方法を修正して再実験を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った硬さの測定は、実験手法に不十分な点があったことがわかり、またサンプルサイズも十分でないため、昆虫を集めて再解析を行う予定である。そのデータが揃い次第、捕食実験と硬さの測定の結果を合わせて論文を執筆する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)